菅義偉ホームページより
公職選挙法をはじめとする違法疑惑に、国会追及の動きと連動していた招待者名簿の廃棄問題、さらに「総理・昭恵枠」が約1000人だという政府説明が嘘ではないのかという疑惑と、次々に安倍首相をはじめとする政府の主張のデタラメさが明らかになっている「桜を見る会」問題。そしていま、新たに大きな火種になっているのが、「桜を見る会」に反社会的勢力と見られる人物が招待されていた問題だ。
SNS上では少し前から、「桜を見る会」で撮られた、招待者と菅義偉官房長官のあるツーショット写真が話題となっていた。というのも、ツーショット写真を含め複数投稿された写真のなかには、反社会的勢力とされている人物が写っていると週刊誌が伝えたからだ。
しかも、この写真のほかにも反社会的勢力と見られる者が「桜を見る会」に招待されていたのではないかという疑惑がもたれており、菅官房長官はついに26日の定例記者会見でこう認めざるを得なくなったのだ。
「出席は把握していなかったが、結果的には入ったのだろう」
「結果的には入ったのだろう」って、「桜を見る会」の予算が増加したのは「セキュリティ対策」のためという言い訳はなんだったのか。いや、そもそも功労者を慰労することが目的の公的イベントだというのに、反社会的勢力が招待されていたのではないかという疑惑は、重大な問題だ。ご存知のとおり、反社会的勢力への闇営業問題では宮迫博之や田村亮といった芸人たちは厳しくその責任が問われたが、安倍首相の主催イベントで反社会的勢力を「功労者」「各界の代表者」として招待して税金で接待していたとみられているのだ。悪質さでいえば芸人たちを遥かに超えた問題であり、かたや彼らが契約解除などの処分を受けているのだから、安倍首相や菅官房長官は「辞任」級の責任を問われてしかるべきだ。
だが、昨日27日の午前定例記者会見では、西村明宏官房副長官が「反社会的勢力のみなさまが出席されたかどうかは個人に関する情報であるため、回答を差し控えさせていただいている」と発言。反社会的勢力を「みなさま」と呼び、税金でもてなしていたのかどうか国民に説明すべき問題を「個人の情報」だと言って回答拒否し、さらに、同日午後の会見では、菅官房長官がこんなことを言い出した。
「“反社会的勢力”についてさまざまな場面で使われることがあり、定義は一義的に定まっているわけではない」
定義は、定まっていない──!? いやいや、そんなことはない。2007年に政府がまとめた「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」では、〈暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人〉とはっきり定義しているからだ。そして、この定義のもと、たとえば金融庁は各金融機関や業界団体に「反社データベース」の充実などを求めている。にもかかわらず、「桜を見る会」では基本的な反社チェックもおこなわれていなかったのだ。そして、その問題が指摘されると、「定義は定まっていない」などと言いだしたのである。
菅官房長官の言い分がまかり通れば、今後、都道府県など地方公共団体で施行されている暴力団排除条例も骨抜きになってしまう。ようするに、菅官房長官は保身でとんでもないことをぶち上げたわけだ。一体、どこまでこの国を潰そうというのだろう。