前夜祭の会場風景(前夜祭に出演した歌手のブログより)
「臭いものには蓋をしろ」とはまさにこのことだ。昨日夕、菅義偉官房長官は来年の「桜を見る会」の開催中止を発表し、安倍首相もテレビカメラの前で「私の判断で中止にすることにしました」と述べ、公金を使った私物化問題の追及を封じ込めにかかった。
しかも、噴飯モノだったのが、今朝放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)での田崎史郎氏の解説だ。田崎氏は「一昨日の夜に菅官房長官はすでに腹を固められていた」「中止という意味ではよかったと思うんですね」などと述べた上で、こんなことを言い出したのだった。
「2閣僚の辞任がありましたでしょ? あれも早めに辞めさせて、後任もすぐに選んでいるんです。これ、危機管理としてはスピード、ここがいちばん大事なんです。そういう意味では非常に優れた内閣だと思います」
これには玉川徹氏も思わず失笑して「いやいや、優れてないないないない。優れてない(苦笑)」とツッコんでいたが、田崎氏はまったく何を言っているのだか。安倍首相が数百人規模の地元有権者を税金を使って接待していたという、まさしく安倍首相が引き起こした問題であり、さらには中止にして幕引きを図ろうとしているのに、それを「非常に優れた内閣」って。だいたい、「一昨日には菅官房長官が腹を固めていた」と言うが、菅官房長官は昨日午前の記者会見では「桜を見る会」招待者の「総理枠」の存在を否定していたのに、夕方に一転してその存在を認めたのだ。ようするに、虚偽の説明を平気な顔をして堂々おこなっていたのである。とんだ国民に対する背信行為ではないか。
そもそも、だ。来年の開催を中止にしたところで、安倍首相に持ち上がっている重大な疑惑は何ひとつ晴れていない。むしろ、どんどん疑惑は膨れ上がっている。しかもそれは菅原一秀経産相と河井克行法相が辞任したのと同じ、公職選挙法違反疑惑だ。
本サイトでは繰り返しお伝えしているが、「桜を見る会」の問題とともに焦点となっているのは、「桜を見る会」の前日夜に開催されている、安倍首相夫妻が参加する「安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭」なる催しだ。今年はホテルニューオータニの「鶴の間」で開催され、安倍首相の地元から後援会関係者や支持者らが約850人も参加したといわれている。
しかし、ここで浮上したのが、この「前夜祭」の費用がどこから出ているのかという問題だ。安倍事務所が参加希望者に送付していた2018年の「『桜を見る会』について(ご連絡)」という資料では〈会費 5000円(18歳以上お一人様)※当日、受付でお支払下さい〉と記載。山口からやってきた地元支持者たちは受付で5000円の会費を支払って参加していたとみられる。
そして、重要なのは、果たして会費5000円でこの「前夜祭」が賄えるのか、ということだ。もし5000円で賄えず補填がおこなわれていた場合、公選法違反にあたる。実際、岩井奉信・日本大学法学部教授も昨日放送の『ひるおび!』(TBS)でこう指摘していた。
「(会費では)足りない部分を安倍事務所なり何なりが補填をしたとなってくると、これは昔、小渕優子(元経産相)さんの問題が出たように、当然、(公選法で禁止されている)地元の有権者に対する寄附行為にあたると。これは大問題にあたるわけですよね」
そこで、5000円の会費で立食パーティーを開催することが可能なのか、その点についてホテルニューオータニに問い合わせてみた。