いったい何を言っているのだろう。番組のなかでも他の出演者から「そんなの旧宮家の皇族復帰だって同じ。認めるか認めないか分かれる」と総ツッコミを食らっていたが、事実として、各社の世論調査などを見ても、女性・女系天皇への賛成意見はいずれも7割前後である。あの産経新聞とFNNの合同調査(5月11、12 日)でも、女性天皇に「賛成」が78.3%に対し「反対」は13.1%、女系天皇に「賛成」が64.2%に対し「反対」は21.4%である。
竹田氏は「女系天皇は賛否が真っ二つに割れるから国民の統合ではなくなる」というふうに言うが、むしろ、70年以上も前に皇族でなくなった旧宮家の人物をどうこうしようというほうが、よっぽど国民を二分するだろう。事実、産経FNN調査ですら、旧宮家の皇籍に復帰を「認めてもよい」が42.3%、「認めないほうがよい」が39.6%だ。
実際、旧皇族とは言っても、現在はすでにほとんどの世代が戦後生まれで、宮家であったときを知らない。とりわけ若い世代は、一般の国民とほとんど同じ生活環境で育っていると推察されるし、そもそもその人々自体がもはや公的存在ではなく「民間人」だから、国民がよく知る由もない。いきなり「法改正したので明日から皇族です」ともなっても、それこそ、ほとんどの国民がすんなり受け入れられないだろう。
現に竹田氏自身が、今年5月の『AbemaPrime』(AbemaTV)で、眞子内親王の婚約者である小室圭さんを引き合いにだして、こうディスっていたではないか。
「もし数年前に女性宮家の制度ができていたらですね、今ごろ小室圭さんは皇族になっていた可能性があるんですね。今年の1月のお正月の一般参賀で、あそこに小室さんがいて手を振っていたかもしれないわけで。小室さんがいいか悪いかは別にして。何が言いたいかって言うと、民間出身の男性が皇族になるっていうのは我が国の2000年以上の歴史のなかで一例もないんですね。(中略)ですから眞子内親王殿下、佳子内親王殿下がご結婚後も皇族に残っていただける、そこだけ見るとなんか良さそうですけど、じゃあそのね、旦那さんを皇族にしますよと、誰でもいいんですか?と。もしかしたらこれ、小室さんかもしれないわけで」
では、あえて聞きくが、竹田サンは、小室さんが仮に何代前かの天皇の男系の血を引いてさえいれば「ようござんす。めでたしめでたし」とでも言うのだろうか。ちなみに竹田サンにしたって、“明治天皇の玄孫”と紹介されることが多いが、実際には明治天皇の子女の家系なので“明治天皇の男系の玄孫”ではない。男系で見れば南北朝時代まで遡らねばならないらしく、一般的感覚で言えば、現天皇家とはほとんど「男系的に他人」も同然である。それこそ“ブーメラン”ではないが、ネトウヨそのものである竹田サンのような人が皇族になるかもしれないということのほうが、よっぽどヤバイだろう。