あまりの無責任ぶりに呆れ果てるが、猪瀬元知事の暴言はこれでは終わらなかった。スタジオで、立候補ファイルの問題の記述〈この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である〉が紹介され、コメンテーターの杉村太蔵が「温暖」(英語版ではmild and sunny)という表現について、「温暖ではなく酷暑、嘘をついて招致したのでは」と突っ込むと、猪瀬氏はこう言い放ったのだ。
「夏の温度は出してあると思います。mild and sunnyと書いてあるの? ハハハ。それは、そのくらい。プレゼンテーションってそんなもんでしょ」
笑いながら、「プレゼンテーションなんて嘘つくもの」と開き直ったのである。
その後も「夏に開催するのは当たり前なんで」「国立競技場もエアコンが全部入っていることが前提なんで、マラソンといくつかは外に出るよ。でも基本的には各競技場は全部空調効いているわけですよ。近代的設備で乗り越えられることができるという確信に基づいてプレゼンテーションをしているわけで。全然問題にならないわけです」と、“クーラーが効いている”論を、主張し続ける。
こうした猪瀬氏の開き直った態度に憤り、反論したのがコメンテーターを務める元NHK解説委員の柳澤秀夫氏だった。
「さきほどプレゼンテーションはそんなものだとおっしゃいましたが、われわれ国民はプレゼンテーションでアピールされたことは事実だと受け取るんじゃないでしょうかね。温暖と表現されたことが、現実に酷暑だという部分はかなりの乖離があると思うんですよ。それを“そんなものだ”と言われると、われわれこれから、今後こういうシチュエーションに直面したときに、プレゼンテーションの中身をどう受け止めたらいいかという大きい疑問が残ってしまうんですね」
それでも猪瀬氏は「東京開催をするんだという強い決意のもとで招致している。マラソンは暑いところでやれば日本選手は強いだろうというのも頭にあるわけですから。冬の東京マラソンだと外国選手が必ず優勝しちゃうんでね。夏オリンピックで、日本人選手っていうのは暑いところに強いという認識があったから、それは別に疑問に思ってませんよ」と、酷暑のほうが日本選手は有利だなどとまたも、筋違いの話を持ち出して強弁し続ける。
あげく、スポーツに親しむことで健康寿命がのびて、医療費が削減できるなどと、自分の招致がいかに素晴らしかったか延々と手柄自慢する始末だった。