繰り返すが、「旧宮家」と言っても、すでに皇籍離脱から70年以上も経っており、若い世代は一般家庭とほとんど変わらない環境で育ったと推測される。そうした人たちがいきなり皇室に入るというのは普通に考えて無理がある。「天皇家の養子・婿養子案」にしても「皇籍復帰案」にしても、それこそ普通の感覚で言えば「天皇ならざる天皇」であることに変わりはない。
もしそれでも、養子や婿養子に名乗りをあげる旧宮家の人間がいるとしたら、それは相当にファナティックな復古主義者か天皇や皇室の権威を何かに利用しようという腹に一物のある人間だろう。
いずれにしても、この提言通りになれば、竹田恒泰みたいな輩が佳子内親王や愛子内親王の婿養子になり、「天皇か天皇の父親」になる可能性がある、ということだ。実際、竹田氏自身、本人は「私は皇族にはなりません」などと嘯いているが、以前から「婿養子案」などを含む旧宮家男子の皇籍復帰を主張してきた。最近もこんなツイートをしている。
〈もし私が皇族になってしまったら、、、、悲劇である。
25万人が登録する「竹田恒泰チャンネル」は、Twitterアカウントは、4万人の会員がいる竹田研究会はどうなる?「そこまで言って委員会」「ゴゴスマ」は?文科省が検定中の中学歴史教科書はどうなる?本業のラーメン屋は?? 復帰などありえない。〉(10月21日)
いや、何言ってんだ、この人。問答無用でナシに決まっているだろう。だいたい、竹田サンは例の「あいちトリエンナーレ」の件で大村秀章・愛知県知事を攻撃しており、「大村知事は即位礼正殿の儀に参列するな!」などとがなり立ててきたが、自称「天皇の親戚」であるにもかかわらず、ご本人はそもそも招待すらされなかったらしい。当然だろう。ようは、皇室からみても“お呼びでない”のである。
ちなみに、竹田恒泰氏は“明治天皇の玄孫”と紹介されるが、実際には明治天皇の子女の家系なので“明治天皇の男系の玄孫”ではない。男系で辿ると実に南北朝時代にまで遡らなければならないらしく、ここまでくると現在の天皇家とは“男系的にほとんど他人”と呼んで差し支えないだろう。いずれにせよ、こんな“ネトウヨビジネスマン”が「天皇の親戚」と自称している時点で国辱モノなのに、ましてや皇籍復帰して皇位継承権を持つなど、考えるだけでも身の毛がよだつというものだ。