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台東区“避難所ホームレス排除”に賛同する差別的主張が…ウーマン村本は「納税での選別」思想を真っ向批判

 国民の命と安全を守ることは近代国家の最低限の責務だ。税金を納めた者だけが享受できる特権ではない。しかし、現実にはこうした正論は全く届かず、税金を払っていないというだけで攻撃され、被災したホームレスや貧困者が行政から見殺しにされても自業自得、そんな差別思想がまかり通るようになった。

 いや、排除されているのは、ホームレスだけではない。この国では、被災者全体が十分な保護や保障を受けられられず、放置されている。

 たとえば、ホームレスが排除されたその避難所一つとってもそうだ。日本人は体育館でお風呂も入れずプライバシーもなく雑魚寝状態で寝泊まりすることを当たり前のように受け入れているが、国際基準で考えれば、こんな避難所しか用意されていないということ自体、ありえない。

 弁護士の大前治氏は「現代ビジネス」で、日本の避難所の生活環境が、海外の避難所にくらべて、かなり劣悪であることを指摘している。

〈日本と同じ地震国であるイタリアでは、国の官庁である「市民保護局」が避難所の設営や生活支援を主導する。2009年4月のイタリア中部ラクイラ地震では、約63,000人が家を失った。これに対し、初動48時間以内に6人用のテント約3000張(18,000人分)が設置され、最終的には同テント約6000張(36,000人分)が行きわたった。
このテントは約10畳の広さで、電化されてエアコン付きである。各地にテント村が形成され、バス・トイレのコンテナも設置される。
ただし、テントに避難したのは約28,000人であり、それより多い約34,000人がホテルでの避難を指示された。もちろん公費による宿泊である。
(「現代ビジネス」2018年7月10日)

 これはイタリアだけが特別被災者にやさしいというわけではなく、日本の避難所が国際基準以下、難民キャンプ以下なのだという。

〈災害や紛争時の避難所について国際赤十字が提唱する最低基準(スフィア基準)は、次のように定めている。
・世帯ごとに十分に覆いのある生活空間を確保する
・1人あたり3.5平方メートルの広さで、覆いのある空間を確保する
・最適な快適温度、換気と保護を提供する
・トイレは20人に1つ以上。男女別で使えること
 これは貧困地域や紛争地域にも適用される最低基準である。経済力の豊かな日本で、この基準を遵守できないとは思われないが、実際には程遠い。〉(「現代ビジネス」2018年7月10日)

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