忘れてはならないのは、今回の「表現の不自由展・その後」をめぐる大量の電凸や脅迫は、安倍政権や政権に近い極右政治家が扇動したという事実だ。
25日に発表された検証委員会による中間報告は、美術監督である津田大介氏らの不備も指摘する一方、〈過去に禁止となった作品を手掛かりに「表現の自由」や世の中の息苦しさについて考えるという着眼は今回のあいちトリエンナーレの趣旨に沿ったものであり、妥当だったと言える〉と判定。そして、政治家たちの圧力発言については、〈河村市長らの発言による直接的影響はなかったが、TVメディア等を通じた同氏らの対外的発言によって、電凸等が激化した可能性がある〉〈政治家の発言は、純粋な個人的発言とはみなせない。内容によっては圧力となりえ、(広い意味での)「検閲」とも言いうるので、慎重であるべき。また、報道等で広く拡散されることで度を越した抗議を助長する点でも慎重であるべき〉と断じている。
いずれにしても、わたしたちが今回の補助金取り消しに強く抵抗しなければ、これからどんどん安倍政権がネトウヨをけしかけて、マッチポンプ的に事実上の検閲を行うということが繰り返されてしまうだろう。そもそも憲法で保障された「表現の自由」は、時の権力に左右されないためのものだ。戦中の日本では、報道だけでなく芸術作品までが検閲の対象となり、逆に戦争賛美や戦意高揚に利用されていった。このままでは、本当にこの国は同じ轍を踏むことになる。
(編集部)
最終更新:2019.09.27 04:12