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香港アグネス・チョウさん抗議も幸福実現党は「霊言」撤回せず…幸福の科学「霊言」シリーズの危険性とタブーに怯えるマスコミ

 いや、今回だけのことではない。幸福の科学は、こうした「霊言」をシリーズ化しており、歴史上の人物や故人はもちろん、キムタクや星野源、広瀬すず、蒼井優、宮崎駿など、存命の芸能人・文化人の「守護霊」インタビューを膨大に出版していることは前述のとおり。実は、そのなかには戦争や紛争あるいはテロの呼び水になりかねないものだって少なくなかった。

 一例が、2015年1月に幸福の科学出版から出た『ムハンマドよ、パリは燃えているか。―表現の自由VS.イスラム的信仰―』だ。日本でもIS(イスラム国)の問題やシャルリ・エブド襲撃事件がメディアにクローズアップされていたなかで出版された同書は、大川総裁が「霊言」でムハンマドを降ろし、過激な発言を連発させるという内容である。

 たとえば、質問者がやんわりと“言論ではなく暴力で対抗するのは受け入れがたい”と伝えると、大川氏が降ろしたと称するムハンマドの「守護霊」は、「だって、犯人だけ撃ったんだろう? 犯人を潰しただけでしょ? あれは、ほとんど、池田屋の斬り込みと一緒だよ」などと言い出す。

 他にも、過激派である「パキスタン・タリバン運動」がペシャワルの学校を襲撃した事件については「それは、イスラム教の崩壊を招くからね、そのままだったら」と容認したり、ISの最高指導者アブバクル・バグダディ氏を「いいねえ。久々にいいねえ」「あの小さいのに、よくカリフを名乗った。偉い。うん。偉い、偉い」と褒め称えたりしている。過激派によるテロやバグダディの行動をムハンマド(の守護霊)に肯定させるというのは、イスラム教への冒涜であり、イスラム教徒を侮辱する行為ではないのか。

 だが、こうした幸福の科学の「霊言」シリーズを、これまでほとんど誰も表立って抗議できず、マスコミもまともに追及せず黙殺してきた。それは、幸福の科学がメディアに大量出稿する“スポンサー様”であることや、問題提起する記事を書けば訴訟を起こしてくることと無関係ではない。ようは、マスコミも幸福の科学に尻込みしているのである。

 その意味で言っても、今回、周さんが幸福実現党を念頭に、ちゃんと「私はこのようなことは言っていませんし、このような主張はしていません」と声明を出し、削除と訂正を求めたことは当然である一方、ある意味日本では画期的だったと言えるだろう。無視してもよいものと、悪いものがある。マスコミは“タブー”を振り切って、幸福の科学の手法の危うさを検証し、きちんと批判すべきだ。

最終更新:2019.09.08 09:54

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