無論、ジュリー氏も周辺から漏れる“悪評”を気にしてか、ジャニー氏の葬儀では霊柩車の助手席に遺影を持った滝沢を座らせたり、お別れ会の演出をメインで任せたりと、滝沢新社長を前面に押し出し、ジャニー氏亡き後も体制はとれているとアピールしているが、さりとて滝沢がいくら力を発揮しても、飯島氏のような新しいアイドル像を打ち出すような手腕を期待できるかは疑問だ。実際、滝沢が社長となってYouTubeチャンネルの開設などネット展開が進んだと言われているが、それは他社もずっと前からやっていることであって、何も目新しいものではない。
しかも、錦戸の脱退・退所によって、後を追う者がさらに出てくるのは間違いない。現在、名前が上がっているだけでも、TOKIOの長瀬智也、関ジャニの大倉忠義、山下智久、堂本剛など、独立話が持ち上がっているメンバーは枚挙にいとまがないが、その背景には、ジュリー体制への不安はもちろん、退所後も活躍できる前例が出ていることも大きい。新しい地図の3人もそうだが、とくに影響を与えているのが、2014年に退所した元KAT-TUN・赤西仁の存在だろう。
赤西は退所後、中国にマーケットを広げ、音楽にドラマにと活躍。中国版のTwitter「微博」(ウェイボー)ではフォロワー数は約275万人にものぼり、昨年12月に「ウェイボーアカウントフェスティバルインジャパン2018」で「最も影響力のあるアーティスト賞」を受賞したほか、音楽でも賞を受賞。さらに国内でも、2016年には俳優の山田孝之とユニットを組んでCDデビューしたり、立ち上げた自主レーベルがユニバーサルミュージックジャパンと業務提携を結んだりと、順調に活動をおこなっている。
方向性を縛られることもなく音楽活動し、自由に発信をし、自分で選んだ仕事ができ、それで十分稼いでいける──。結婚も制限され、自由な活動・発信も縛られ、さらには手腕が心許ないジュリー体制のなかにいるジャニーズタレントたちにとって、この赤西の成功が大きな揺さぶりになっていることは想像に難しくない。
そして、タレントたちの退所以上にジャニーズの崩壊を一気に進めることになるのは、テレビへの影響力だ。
ジャニーズ事務所はこれまで、人気タレントを出演させている立場を使って、テレビ局に対し、キャスティングへの口出しからスキャンダル報道の封じ込めまで、さまざまな圧力を行使。それによって絶対的な力を保ってきた。だが、嵐がいなくなれば、こうした圧力もいままでのようには効かなくなるのではないか。そうした声も上がりはじめているのだ。
ジャニーズがタレントのテレビ出演のゴリ押しもできず、スキャンダル報道も抑え込めなくなる──それこそが“ジャニーズ帝国”の終わりだ。すでにその日に向かって、カウントダウンははじまっているのかもしれない。
(編集部)
最終更新:2019.09.06 11:49