しかし、事態はまったく逆に動いている。右派メディアやネット、安倍応援団が「週刊ポスト」の韓国ヘイトを全面擁護し、さらなる差別扇動を行なっているのだ。
たとえば、3日放送の『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)では、作家の百田尚樹氏と、このところ右傾化が顕著なジャーナリスト・門田隆将氏が登場し、こうまくし立てた。
百田「これね、私も昨日買いました。読みました。全然ヘイトでもなんでもないですね。単純に、韓国のいまの政権のやり方、いまの韓国の民衆の一種の“火病”というんですかね、ちょっとヒステリックにやっている、これを淡々と批判しているだけのものですね。これが民族ヘイトと言われたらどうしょうもないですね」
門田「いや、だから日本では、この韓国への批判はヘイト(と言われる)。で日本批判、日本を貶めるのは表現の自由という二重基準がありますんで、韓国への批判は許されないという社会でありますので。だからジャーナリズム、『週刊ポスト』は一種のタブーに挑戦したわけだけれども、謝る必要なんか全然ないですよね。これに文句をつけてくる作家さんの見識というのはいかがなものかとツイッターで出させてもらいましたけど。ほんと、表現の自由を守るべき作家が何言ってんの? とびっくりしましたね」
「ポスト」のヘイトを肯定しているばかりか、「韓国の民衆は“火病”」などと、ヘイトの追い討ちをかけている百田氏には呆れるほかはないが、騙されてはならないのは、門田氏の「韓国批判はヘイトで、日本批判は表現の自由という二重基準がある」という主張だ。
これは安倍応援団やネトウヨなどがよく口にする論理だが、完全に話のすり替え、詐術だ。あらためて説明しておくが、ヘイトスピーチというのは、本人が容易には変えられない国籍、人種、民族、性的指向などの属性を一括りにして、「犯罪を犯す」だの「病気」だのとレッテル貼りをし、差別を扇動する言説を指す。韓国の政府や文在寅大統領への批判は「ヘイト」ではないし、そんな批判も受けてはいない。
しかし、「週刊ポスト」が掲載した「怒りを抑えられない「韓国人という病理」」というタイトルは、明らかに「韓国人は全員怒りを抑えられない病気を持っている」と撒き散らし、偏見と差別を呼び込むものに他ならない。
ところが、安倍応援団やネトウヨ連中は日本の政権批判、政府批判、さらには安倍首相への批判を「ヘイトスピーチだ!」などとがなりたてる一方で、韓国民族を「病気」呼ばわりする差別扇動記事を「表現の自由だ」などと主張するのである。二重基準はいったいどっちの方なのか。ようするに、こいつらは“ヘイトスピーチ”の意味を無視して、その言葉で安倍政権批判を封じ込め、差別をたれ流したいだけなのである。