そんななか、勇気ある発言をしているのは、加藤浩次、友近、吉本以外では、前述の竹山くらいだろう。
竹山は『グッディ』(24日放送)で、吉本興業の芸人支配を巡ってこう踏み込んでいた。
「いまこういう問題が起きたことをきっかけに、芸能界全体も、野球選手もサッカー選手も移籍あるじゃないですか普通に、だから芸能界全体も、自由に、才能を買ってくれる人のところに自由に行くという体制をつくらなきゃいけなくて、それをやるためには我々タレントだけがやりましょうよって言ってもしょうがない。プロダクションも言わなきゃいけない。そしていちばん大事なのは、いま語られているテレビ局のお偉いさんもみんなそういうことをやりましょうと。干すとか、潰すとか、そういう忖度を使うのをやめましょうというふうにみんなが変わらない限りは、せっかくこうやって我々の先輩たちとかが立ち上がってくれたのに、そうしないと、ただのお家騒動で終わっちゃう。これをちゃんと良いほうに使っていかないと」
いちばん大事なのはテレビ局が変わること。そう呼びかけたのだ。この竹山の指摘こそ本質を突くものだ。先日ジャニーズ事務所が公正取引委員会から注意を受けたが、芸能人の独立・移籍の自由を阻み低待遇や奴隷契約に縛り付けるのは、大手事務所だけの問題でなく事務所の意向に従いテレビから排除するテレビ局の問題でもある。
しかし、テレビ局が吉本と一体化してこの問題を収束させようとしている今の状況を見ると、こうした声はどんどん片隅に追いやられていくだろう。そして、吉本興業の上層部は何の責任もとらず、これまで通りのコンプライアンス無視の状況が続く。
いや、それだけではすまない。山里亮太が昨日のTBSラジオで
「ウチの会社って『VS会社感』を出した人をちょっとメモったりする几帳面さがある」「若手のツイートも『アレつぶやいたん、アレやろ』ってなる日がいつか来ても怖いし」と、若手の会社批判の警告を鳴らしていたが、それこそ、今回、会社を批判した加藤浩次や友近はじめ、若手芸人たちが報復を受ける可能性が非常に高い。
そうした事態を避けるためにも、メディアは吉本の実態を報道し続け、世論の監視を喚起し続ける必要がある。加藤ら芸人たちも「騒動にしてしまってすみません」など謝る必要など一切ない、負けずに声を上げ続けるべきだろう。
(伊勢崎馨)
最終更新:2019.07.25 02:34