今回の「不良品」発言への対応も同様だった。いや、もっとひどいかもしれない。発言は松本が勝手に口にしたもので、番組が情報を提供したわけではない。なのに、フジテレビ側が「編集しなかったこと」について反省の意を表し、松本自身は一切謝罪していないのだ。
いや、謝罪どころか、松本は説明すら一切していない。もし松本自身が「不良品」発言に謝罪が必要ないと思うのなら、その根拠を番組できちんと明らかにして、正々堂々と主張すべきだろう。なのに、それすらせず、完全に問題から頬被りして逃げ出してしまったのだ。
そして、松本がこんな無責任な対応をしても、フジテレビは松本をなんらとがめることももせず、スポーツ紙などのメディアもフジテレビを追及しただけで、松本の責任についてはほとんど追及しなかった。
ようするに、松本人志はいまや、どんな暴論を吐いてもカットされず、問題になっても何の責任もとらずにすむポジションを手に入れてしまたということだろう。
まさに“テレビ界の王様”という扱いだが、しかし、問題は、そんな人物がいま、ニュースや情報を扱う番組に出ていることだ。自分の発言に何の責任も持たない、持たなくても済まされる人間が、社会問題や政治問題にコメントし、さらには総理大臣を番組に出して、世論形成に少なくない影響を与えている。そのことの恐ろしさを、私たちはもう少し認識すべきではないのか。
(編集部)
最終更新:2019.06.11 02:45