しかし、相手はディール外交に恫喝外交、約束破りが得意技のトランプ大統領だ。ここまでやっても、今回の来日中にまたぞろ、関税引き下げを口にし、安倍首相に回答を迫ってくる可能性も十分にある。そこで、会談の前に接待漬けにして、なんとかトランプ大統領の口封じをしようと必死になっているのだろう。
言っておくが、これは関税引き下げを阻止するためではない。たんに参院選前に関税引き下げが公になって、自分たちの選挙に悪影響が出ないよう、“日本の伝統”を差し出す過剰接待をしようというのだ。
しかし、今日から始まるその醜悪な接待が日本のマスコミで批判されることはほとんどないだろう。4月の日米首脳会談の際も、新聞やテレビはこの関税をめぐる裏取引や武器購入を一切追及することなく、代わりに、安倍首相の「次は私自身が、金正恩朝鮮労働党委員長と向き合い、(拉致問題を)解決する。トランプ大統領からは全面的に協力するという力強い言葉があった」という拉致問題に関する勇ましい発言や、韓国の禁輸措置を容認した世界貿易機関(WTO)への日本の抗議を“アメリカが日本を支持した”などといった話ばかりを強調した。
おそらく、今回も「安倍首相とトランプ大統領が固い絆を確認」「トランプ大統領が日朝首脳会談のバックアップを約束」などという上っ面だけの報道が垂れ流されるはずだ。まったくこの国の状況は、絶望的というしかない。
(編集部)
最終更新:2019.05.25 08:14