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ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第31号

透析病院で院内感染対策を訴えた看護師がパワハラ被害に!「きれいごと言うな」「金がかかる」と使用済み注射針を…


 大好評を博している「ブラ弁は見た!」。筆者が担当した第6回では、パチプロよろしく、スロットの目押しができないことを理由に解雇されてしまったという元パチスロ店の従業員のエピソードを紹介させていただいた(第6号参照https://lite-ra.com/2018/01/post-3750.html)。職場環境というものはとても大切で、そのパチスロ店では、男性上司から女性社員に対するセクハラが日頃から横行していた。「何をやっても許される」という日頃からの社内の文化が、無茶苦茶な解雇につながってしまったことは明らかである。

 今回も、日頃からの職場環境の悪さが、悲劇へとつながってしまったという事例を紹介することにしたい。

 舞台は、とある腎透析病院である。この病院では、院内感染対策が不十分であることや、医療スタッフに業務知識がないことが、地元の他の病院でも話題となっていた。

 病院の立て直しのため、院内感染対策を整備しなおし、スタッフ教育まで行える人材を確保することが急務であった。そこで白羽の矢が立てられたのが、様々な病院で院内感染対策に従事してきた経験の豊富な、ベテラン看護師のTさんであった。

 病院の実質的経営者である事務長は、Tさんに対して何度も入職を誘いかけた。その結果、Tさんはその病院に入職することに決めた。

 Tさんはさっそく、感染管理マニュアルを作成し、スタッフに対する教育を実施した。ところが、Tさんを待っていたのは、古くからのスタッフからの猛反発であった。古くからのスタッフのなかには、医療機関であるにもかかわらず、用便後に手を洗わない、注射針の処理も適当、針から血液が漏れてシーツに飛び散っても知らんぷり、診療記録も自分の想像で書いてしまうといった問題行動を繰り返す者がいた。Tさんは、そのような問題行動に対してきちんと指導をしていたところ、古くからのスタッフは言うことを聞かず、むしろそのようなTさんの意見を煙たがるようになった。

 入職してしばらくは、事務長は特に意見を述べていなかったが、Tさんは入職して数カ月後、使用済み注射針の処理について、所定の管理ボックスに入れて厳重に保管するべきだという意見を事務長に述べた。使用済み注射針は、万が一散乱してしまうようなことがあると、針に付着している血液を媒介して、とたんに院内感染が広がってしまいかねない。そのため、医療機関においては、専用の黄色い針回収ボックスに入れ、入れたら二度と取り出さないようにするという取り扱いにしなければならない。

 ところが事務長は、「きれいごとばかり言うんじゃない!」「ばーか。こんなことをしているから金がかかるんだ。いくらかかると思っているんだ」「適当な箱にいったん針を捨て、その後箱から針を取り出してゴミ箱に捨てるようにしなさい」などと、突然Tさんを罵倒し始めた。

 Tさんは、院内感染対策を進めるために入職したからこそ、どの医療機関でも普通に実施している初歩的な感染対策について進言をしたにもかかわらず、全否定されるばかりか、人格までも否定され、大変なショックを受けた。

 以降、Tさんは事務長から連日罵倒され、挙句の果てに退職勧奨を受けるようにもなった。

 理不尽極まりない壮絶なパワハラを受け続けたが、職員はTさんの言うことを聞かず、味方になってくれる者もいなかった。苦しい立場に追い込まれてしまったTさんは、うつ病を発病してしまい、勤務ができなくなってしまった。

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