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「令和」の考案者・中西進の意外な護憲姿勢! 安倍首相に「憲法尊重」要望、安保法制反対、「9条にノーベル賞」発言 

 そして、憲法9条の重要性について、先日もインタビューでこう語っていた。

「戦争の悲惨さをもっと知ってほしい。私は戦争末期、東京の杉並にいたが、毎晩空襲警報で眠れませんでした。いつも、一夜明けると市街地が真っ赤に燃えている。翌日、動員されている工場に向かうと、駅までの間に焼死体が並んでいる。爆風でみんな裸で、黒焦げ。あおむけだったり、のけぞったり、苦しんだ様子がうかがえました。終戦の2年前には父の転勤で広島にいました。原爆で同級生を何人も失っています。憲法9条をノーベル賞にとか原爆反対への声が日本からもっと起こっていいでしょう」(京都新聞4月27日付)

「憲法9条」はノーベル平和賞に値する、重要なもの──。そう考える中西氏が、改元を政治利用して憲法改正に突き進もうとする安倍首相に、新元号の意味をもって「平和憲法の尊重」に釘を刺すのは、当然といえば当然の行動だろう。

「令和」が発表された際、ネット上では、「令和」の大元のネタが安倍政権とそっくりな不正と忖度官僚の跋扈を嘆いた張衡の「帰田賦」だと話題になった。その際、「『国書を典拠とする元号をつけた初めての総理だ』と悦に入る安倍首相に対し、護憲派の中西氏が皮肉を込めて提案したのではないか」という説まで飛び出した。さすがにそこまではありえないと思うが、中西氏が「令和」に「平和憲法」への思いを込めたことはたしかだろう。

 しかし、こうした思いを安倍首相が受け止めることはない。安倍官邸は改元によるお祭りムードで選挙に勝てると踏んでおり、いまならば衆参で3分の2を確保できるはずだと衆参同時選挙に打って出てくる可能性は非常に高まっている。そうなれば、憲法改正に向けた流れは止められなくなってしまうだろう。

 何が「新時代」なのか実態などないまま「めでたい」と浮かれているあいだに、平和主義が破壊されようとしている。中西氏は昨年、自身が副会長を務める日本ペンクラブが編集、中西氏自身も寄稿した『憲法についていま私が考えること』(角川学芸出版)の刊行会見で、「誰も戦争が好きな人はいない。いるとすれば、権力者」と述べていたが、その最高権力者が憲法改正で「戦争ができる国」に変えようとしている危機感を、一体どれくらいの人がいまもっているのだろうか。

最終更新:2019.05.07 01:05

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