もちろん、こうした官邸の動きの背景にあるのは、秋篠宮が現天皇・皇后のリベラルな考えを受け継ぐ姿勢を見せていることだろう。
今さら説明するまでもないが、第二次安倍政権以降、明仁天皇と安倍首相は“対立”といっていい関係が続いてきた。護憲と戦争への反省、沖縄への思いを隠そうとしない明仁天皇と美智子皇后に対し、安倍政権は改憲と歴史修正主義を推し進めるために天皇夫妻の口をふさごうと、陰に陽にプレッシャーをかけ続けてきた。
しかし、そんな安倍首相にとって、目の上のたんこぶになっているのが、明仁天皇のリベラルな姿勢を引き継ぎ、その意向を代弁し続けている秋篠宮の存在だ。とくに、昨年の誕生日会見で、大嘗祭について「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」として、天皇家の私的活動費である「内廷会計での実施」を提案したことは、国家神道復活を目指す右派勢力をバックにした保守派の安倍首相と相いれないものであり、相当な不快感を募らせたと言われている。
「秋篠宮殿下の発言は、明らかに天皇陛下の意向をくんだものでしたが、安倍首相は相当、危機感を持ったようです。その頃から、やたらと秋篠宮を批判するような情報が安倍首相の周辺から出てくるようになった。さらに今回、眞子さまの結婚問題がきっかけになって世論が秋篠宮家に批判的になったことに乗じ、殿下の影響力を封じ込めようと、官邸が一気にバッシング情報を流し始めたということじゃないでしょうか」(全国紙官邸担当記者)
安倍官邸が、野党政治家や政権批判するジャーナリストや学者など敵対勢力のネガティブ情報を出し謀略攻撃を仕掛けてきたことは有名だが、まさか宮家まで標的にするとは……。とても「保守」のやることとは思えないが、しかし、この官邸の姿勢が、本来、タブーである秋篠宮報道の姿勢に影響を与えた部分はあるだろう。
“官邸が発信しているくらいだから、われわれが秋篠宮を叩いたって大丈夫だろう”。そんな空気がいま、メディアに漂っている。
いまや、皇室タブーよりも安倍政権の力がはるかに強大になった今、秋篠宮はこれからもどんどん追いつめられていくということかもしれない。
(編集部)
最終更新:2019.04.28 01:45