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室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第13回ゲスト 金平茂紀(前編)

金平茂紀と室井佑月、萎縮するテレビで孤軍奮闘を続ける二人が語る実態! メディアはなぜ安倍政権に飼いならされたのか

金平茂紀氏と室井佑月が“安倍政権下のテレビメディア”を語る!


 安倍政権の言論弾圧体質によって、どんどん悪化している報道の萎縮。なかでも、ひどいのがテレビだ。第二次安倍政権発足以降、政権に批判的なキャスターやコメンテーターが次々と降板に追い込まれ、上層部から現場までが政権の顔色を窺い、批判的な報道はほとんどできなくなっている。
 そんななか、今回は地道に果敢に政権批判を続ける数少ない番組のひとつ『報道特集』(TBS)キャスターを務める金平茂紀氏をゲストに迎えた。金平氏といえば、『筑紫哲也NEWS23』番組編集長、TBS報道局長、アメリカ総局長などを歴任。定年退職後の現在も、『報道特集』キャスターを継続し、政権への厳しい批判も厭わない姿勢を貫いている。
 そんな金平氏に、やはりテレビでコメンテーターを続けている室井佑月が迫る。なぜテレビはここまで萎縮してしまったのか。御用ジャーナリストが跋扈する理由とは何か、そして、安倍政権下でテレビに何が起きたのか。テレビで孤軍奮闘を続ける二人の激論。まずは、前編をお読みいただきたい。
(編集部)

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室井 金平さんがこの対談に出てくださってすごいびっくりしました。これまでレギュラー的にテレビに出ている人にはみんな断られていたんです。金平さんは『報道特集』のキャスターをしているのに、こんな対談に出てくださって!

金平 僕はもう2016年にTBSの執行役員の任期も終わっているから、契約ベースでやっている。というか、TBSも扱いかねているんじゃないですか? TBSには定年まで長く勤めていたけど、以前、室井さんと一緒に共謀罪反対の呼びかけ人をしたことあったでしょ? あの記者会見をやった1週間後に呼び出されて上層部に言われたんです。「お引き取り願おうか」と。呼びかけ人と直接の因果関係はないんだろうけど、「もうそろそろ、こういうことをやる人間は扱いかねる」っていう空気があったんじゃないかな。

室井 あると思います(笑)。だって、わたしも同じですから。かれこれ20年情報番組に出ていますが、最近は毎回、会議で名前が挙がってるみたい。「次、降板」って。でも、わたしを降ろしたあとに番組と同じ考えの人を呼んじゃうと、わかりやすすぎるし、ちょっと休んだだけでネットにすごく書かれるから、降ろされそうで降ろされない(笑)。まあ、今後は分かりませんけど、たぶん、五輪前に辞めさせたいんじゃない。

金平 こう言っちゃなんだけど、同じような立場の2人で対談なんかやっていいのかな(笑)。

室井 TBSはかつて“報道のTBS”と呼ばれていて、とくに『筑紫哲也NEWS23』 時代の、家族でやっているような雰囲気は大好きでした。金平さんも筑紫ファミリーだったでしょ。

金平 筑紫時代は全スタッフ、そして番組もが一体となった感じで、うまく回っていた。筑紫ファミリーという疑似家族のような。でも、いまでは良き疑似家族はとっくに壊れています。「老壮青」って言っていたんですけど、いまは誰もファミリーとか思っていない(苦笑)。

室井 でも、TBSと言えば報道だったじゃないですか。

金平 かつてね。

室井 いまでも他局よりは頑張ってると思うけど。

金平 他が酷すぎるんでしょう。論評にも値しないようなところがほとんどになっちゃって。僕はいま65歳だけど、僕らが学生時代のテレビは、NHKは体制を代表する本当のことは絶対言わないメディアで、“お上の代弁者”として捉えられていた。そんななか、民放の報道ではTBSが圧倒的に強かった。かつて『JNNニュースコープ』(1962〜1990年放送)という番組があって、田英夫や古谷綱正、入江徳郎とかのベテランどもがいて、結構な迫力があったんです。当時、「NHKとTBS、どっちが本当のことを言っているのか」と問われれば、みんながみんな「TBSに決まってるじゃん」と言うくらいに力があった時代だった。その頃、他の民放は、テレ朝は、NET=「日本教育放送」時代で報道には力を入れていなかったし、フジテレビは娯楽路線、日本テレビはプロレスと野球。報道をやっていたのがTBSだった。だから本来強いのは当たり前なんです。

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