まさしく蒼井の言う通りだが、しかし、安倍政権の待機児童対策は、冒頭で指摘したようにまったく的外れなものだ。32万人分の保育の受け皿を整備するというが、保育士の受け皿の確保内容に認可保育園を増やすというより、企業主導型保育事業や認証保育所などの認可外保育施設に肩代わりさせる、というもの。一番問題なのは蒼井の言うように、保育士の対偶が劣悪で、なり手がいないことなのに、今回の対策で打ち出されるのは、わずか1%、月額3000円程度の賃上げにすぎない。これでは、保育士のなり手が増えるはずがないだろう。
しかも、2016年3月には安倍首相は保育士についてこんなトンデモ答弁までしていた。
「菅官房長官の下で、時代の変化に対応した栄典の授与に関する有識者懇談会を開催しており、叙勲において、保育士や介護職員を積極的に評価していくことについても検討していきたい」(NHKニュースより)
ようするに安倍首相は、待機児童問題の背景にある保育士などの“待遇改善”のかわりに、勲章などの栄典を授与することを検討していたというのだ。
保育の現場に必要なのは、働きやすい環境づくりであり、労働に見合った報酬が得られるよう賃金を上げることだ。勲章ひとつで保育の現場の苦労が解決できるのだと思っているのなら、これほど国民を愚弄する話もない。
そもそもこの国の庶民にとって、子どもを産み、育てることがどれほど大変なことなのか。安倍政権も自民党の議員も、理解しようとすらしていない。2018年に杉田水脈衆議院議員がつぶやいたこのツイートが、それを何よりも雄弁に物語る。
〈待機児童、待機児童っていうけど 世の中に『待機児童』なんて一人もいない。子どもはみんなお母さんといたいもの。保育所なんか待ってない。待機してるのは預けたい親でしょ〉
「保育園落ちた日本死ね!!!」の悲痛な叫びはこれからも響き続け、保守層が「子どもを産まないほうが問題」などと少子化の問題を国民のせいにしている間に、日本はどんどん子どもがいなくなってしまうのだろう。
(編集部)
最終更新:2019.04.22 06:33