しかし、関係者が知らぬ存ぜぬを決め込んだとしても、T氏がデマ拡散のサイトに関与したという事実は隠しようがない。改めて説明しておくが、「政治知新」がデマ攻撃を仕掛けたのは今回の吉良議員だけではなかった。前述した玉城デニー知事や辻元清美議員などの野党系政治家、青木理氏、望月衣塑子氏、香山リカ氏、伊藤詩織氏などの政権批判的なジャーナリスト・言論人に対しても、デマを交えた攻撃を繰り返してきた。そして、高須クリニックの高須克弥院長や石平太郎氏など右派系のインフルエンサーをはじめ『報道ステーション』コメンテーターを務める野村修也氏までもこのサイトの情報をRTして拡散するということが繰り返されてきた。
そして、この政権批判者叩きのサイトのドメイン情報に名前を連ねていた人物が、菅官房長官の覚えめでたい自民党県議の弟で、しかも、安倍首相の「桜を見る会」に招待されていたのだ。これでは、「政治知新」の活動にそもそも自民党の意向が強く働いていると疑われても仕方がないだろう。
自民党と“ネトウヨ系サイト”や“野党バッシングデマのフェイクニュース”をめぐっては、これまでもただならぬ関係性が浮かび上がっていた。たとえば、自民党が下野時に組織したネット別働隊・J-NSC(自民党ネットサポーターズクラブ、通称ネトサポ)に関しては、会員を自称するTwitterアカウントやブログがヘイトデマを撒き散らしていたことが確認済みだ。田村議員の兄弟・T氏をめぐっては、この「政治知新」に加えて「主婦」などを名乗って、複数のブログを運営していたとの疑惑も浮上している。これもまた、野党へのネガキャンを書き連ねたものだ。
先に触れた「覚醒ナックルズ」の記事も指摘していたように、内閣情報調査室(内調)の関与も疑うべきだろう。週刊誌に掲載される野党議員のスキャンダルには、内調のリークによるものが少なくないというのはもはや公然の秘密だ。
そして、今回の「政治知新」に浮かび上がった自民党・安倍政権とのただならぬ接点。ネットに拡散し続ける政権批判者攻撃やリベラル叩きは、わたしたちが想像している以上に政権や自民党が深く関わっているのではないか。
(編集部)
最終更新:2019.04.15 06:24