TBS日曜劇場『グッドワイフ』番組サイトより
ここ最近、やたら弁護士が主人公のドラマが目立つが、そんななか、安倍政権と検察で実際に起きている不正が克明に描かれていると一部で話題になっているドラマがある。日曜夜に放送している、常盤貴子主演のドラマ『グッドワイフ』(TBS)だ。
常盤演じる主人公の蓮見杏子は、唐沢寿明演じる検事の夫・壮一郎と結婚、子どもができたことを機に弁護士を引退し専業主婦となっていた女性。ところが、東京地方検察庁特捜部長までのぼりつめていた夫・壮一郎が現職のまま突然収賄疑惑で逮捕され、さらに女性スキャンダルまで発覚する。杏子は生活のため、十数年ぶりに弁護士に復帰し、夫の弁護にも乗り出すことになる。
『グッドワイフ』はアメリカのドラマが原作で、やや荒唐無稽な部分があるが、実際にドラマを見返してみると、たしかに、検察の実態を彷彿とさせるストーリーやディテールが次々に出てくる。
たとえば、そのひとつが、壮一郎の逮捕の裏側だ。逮捕前の壮一郎は、大物政治家の汚職を捜査していた。そこで、捜査の手が迫った大物政治家と検察上層部が組み、捜査を止めさせるため逆に壮一郎の汚職をでっち上げ、逮捕していたのだ。
検察が疑惑封じ込めのために身内の現役検事をでっち上げ逮捕するなんてありえないと思うかもしれないが、検察ではこういうケースが実際に起きている。2002年検察庁の調査活動費の不正流用をテレビで実名告発しようとした三井環・大阪高検公安部長(当時)を直前、微罪で別件逮捕、口封じした事件だ。実際、ドラマを見ていると、ディテール部分が三井事件とよく似ており、参考にしているのではないか、とも思えてくる。
また『グッドワイフ』は、検察の強引な捜査や人質司法、取り調べの実態も描いている。
後任の特捜部長となった脇坂が「必ず起訴して有罪に持ち込め!」「落とせ」と部下にはっぱをかけるシーン、東京地検特捜部検事正が「大事なのは正義でなく有罪にすることだ」と呟くシーン、そして、壮一郎に保釈を餌にして自白を強要するシーンなどが繰り返し出てくるのだ。
「お前を起訴してやる! それだよ、その顔が見たかったんだよ。正義漢ヅラが悔しさで歪むのがな。裁判で有罪になれば当然、検事を辞める羽目になる」
「これだけは言っておくがな、何回申請しようとも絶対君は保釈されない。裁判が終わるまで薄暗い独房で生きるんだ」
また、脇坂特捜部長が妻の杏子にアプローチし、こう揺さぶりをかけるシーンもあった。
「(家が)大変でしょう。色々と。あのー、私も言ってるんです、ご主人に。罪を認めさえすれば、すぐにでも拘留は解かれる。家族の元に帰れるんだぞって」
「蓮見くんも家族のことを思えば更生してくれるだろう。お子さんを巻き添えにするのはかわいそうだからな」
保釈を自白の交換条件にする人質司法はゴーン逮捕でも散々話題になったが、
『グッドワイフ』はその実態も繰り返し描いていた。
ほかにも、証人に虚偽の証言をさせたり、証言の音声データを捏造したり、大阪地検特捜部が証拠を改ざんした厚労省の村木厚子氏の冤罪事件を彷彿とさせるようなシーンもあった。