上田晋也(TBS公式HPより)と村田諒太(『101%のプライド」幻冬舎文庫)
最近起きたローラのケースをみてもわかるように、タレントや芸能人が少しでもいまの政治を批判するような発言をするや、ネトウヨや安倍応援団から束になって攻撃され、テレビやCMから降板するよう圧力をかけられるというのが、芸能界の現状だ。その結果、メディアでは空気を読むのに長け、政権や強いものに媚を売るタレントばかりが席巻するようになった。
しかし、一方で政治や権力に対しておかしいことは「おかしい」とはっきり口にし続ける勇気ある芸能人や文化人も、少ないながら存在している。そんな芸能人、文化人を称えようと、リテラが毎年、選んでいるのがこの「芸能人よく言った!大賞」だ。
もちろん、リテラに表彰されたところで誰もうれしくないだろうし、下手をしたら、「ネガティブな反応が増えるだけ」と迷惑がられるかもしれない。しかし、それでも、わたしたちは彼らの勇気を称えずにはいられない。彼らが言葉を発してくれたおかげで、国民が今まで隠されていた政治の問題点を知り、沈黙していた人たちが励まされ、権力の横暴に「NO」を突きつける声が確実に増えているからだ。
ということで、迷惑を承知でお届けする「芸能人よく言った!大賞」、まずは前編、10位から6位までを発表しよう。
★10位 上田晋也(くりぃむしゅちゅー)
「赤坂自民亭」問題で安倍首相の責任を問い「退陣に値する」と怒り全開
多くの情報番組でMCをつとめているものの、あまり政治的な発言をしている印象がなかったくりぃむしゅちゅーの上田晋也。ところが、2018年は安倍政権に対して、毅然と批判の声を上げた。
そのひとつが、7月、豪雨被害が起きた最中に安倍首相はじめ自民党議員が「赤坂自民亭」なるどんちゃん騒ぎの飲み会を行っていた問題へのコメントだ。ほとんどのニュースやワイドショーが「野党から批判の声が上がっています」という程度でお茶を濁す中、上田は自らがMCをつとめる『上田晋也のサタデージャーナル』(TBS)で、こう語った。
「先日の大阪の地震のときもね、安倍総理と岸田さんお食事会してらしたわけでしょ。で、今回のコレでしょ。僕はね、以前、えひめ丸の事故のとき、森喜朗首相がゴルフやってて退陣まで追い込まれたじゃないですか。僕はまったく同レベルの話だと思うんですよ」
そう、上田は自民党の問題だけでなく、安倍首相の責任を問い、退陣に価するとまで踏み込んだのだ。当然、この発言は話題になり、ネトウヨや安倍応援団から一斉に〈上田晋也は反日左翼〉〈極左マスゴミの操り人形に成り下がったな〉などと攻撃を仕掛けられたが、しかし、上田の「言うべきことは言う」という姿勢はぶれなかった。
翌週も引き続き「赤坂自民党」を批判した上、参議院の議員定数を6増加する公選法改正案についても「あれだけね、(安倍首相は)力強く『定数削減をします!』と言っておきながら」と真っ向批判。さらにこう続けたのだ。
「なんて言うんでしょうね、あの特定秘密保護法案のときですかね、(法案を)強引に通して、『ちょっと私も説明不足でした』と安倍総理がね、『今後、真摯に丁寧に説明していきたい』とおっしゃいましたけど。あれ以降、1個も丁寧に説明していただいた覚えはないんですけどね。どの法案もただ強引に通して、今回も党利党略で拙速に決められた感が非常にあるんですが」
この発言からもわかるが、上田はおそらく特定秘密保護法のときから、安倍政権のやり方にずっと疑問をもっていたのだ。それが安倍政権の目に余る国民無視、民主主義否定のやり方にとうとう我慢できなくなったということだろう。大物芸人ということで、政治的発言は他のタレント以上に難しい面があると思うが、今年も引き続き、安倍政権の横暴や怠慢を徹底批判する気骨を発揮し続けてくれることを期待したい。