発端となった『M-1グランプリ2018』(公式HPより)
『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で審査員を務める上沼恵美子に対して、とろサーモンの久保田かずのぶとスーパーマラドーナの武智が「オバハン」「更年期障害」といった女性蔑視の暴言を放った件が大きな問題となっている。
事の発端は、『M-1グランプリ2018』の放送が終わった直後の2日深夜に配信されたインスタライブ。芸人同士が集まって開いた打ち上げの席だと思われる居酒屋で配信された動画で、久保田は「酔ってるから言いますけど、そろそろもう(審査員を)辞めてください」「自分目線の、自分の感情だけで審査せんといてください」「お前だよ、一番お前だよ。わかんだろ、右側のな」とまくしたてた。「右側」というのは、上沼が審査員席で右端に座っていることを指しているのだと思われる。
そして、久保田の発言に乗っかるようにして武智は「言うた! 右のオバハンや。いや、右のオバハンにはみんなうんざりですよ」「『嫌いです』とかって言われたら、更年期障害かって思いますよね」と上沼に暴言を吐いた。
動画は削除されたがSNSを通じて拡散されていく。さらに問題の動画を知っていたのかどうかはわからないが、3日放送の『上沼恵美子のこころ晴天』(ABCラジオ)にて、上沼はM-1の審査員を引退すると宣言。「私みたいな、こんな年寄りがね、ポンっと座って偉そうにしている場合ではないんですよ。だからもう、私は引退します」と語った。
4日朝には、久保田が〈この度は私の不徳の致すところで、上沼恵美子さまに失礼極まりない言動をしてしまい申し訳ございませんでした。今後は二度とこのような事がないよう深く反省しお詫び申し上げます〉と、武智が〈昨日の僕の醜態について、上沼恵美子さん、M-1に携わる方々、すべての方々にお詫びしたいです。申し訳ございませんでした〉と、相次いで謝罪のコメントをツイートしたが、とろサーモンは17日になんばグランド花月で予定されていた舞台への出演が急きょなくなるなど、仕事にも影響が生じ始めている。
また、同じ、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の芸人たちからも苦言が続出。ケンドーコバヤシが「(『M-1グランプリ』に)すげえ泥を塗った」と語り、博多大吉(博多華丸・大吉)も「バカ後輩たちがやらかした」「僕史上、最大級の雷を落としますよ、あの2人には」とコメントしている。『M-1』で司会を務める今田耕司やナインティナインの岡村隆史も2人に苦言し、上沼に対し「後輩が申し訳ありません」「お許しを」など謝罪の言葉を発している。
こういった状況から「とろサーモン久保田とスーパーマラドーナ武智はこのまま芸能界から干されるのでは?」との憶測も多く出ている。今日8日にも2人が上沼に会って直接謝罪するという報道もある。
彼らが上沼に対して吐いた暴言は「オバハン」「更年期障害」「感情的」といった言葉を含む明らかな女性蔑視であり、批判されるのは当然だ。今後も反省を行動で示し続けていく必要があるだろう。
ただ、ひとつ付言しておかなくてはいけないのは、今回の件が、本人たちが謝罪したり先輩芸人らが苦言を呈するような大きな問題となっているのは、女性蔑視発言の矛先が芸能界で権力をもつ大御所芸人に向けられたものだったからということだ。
今回に限らず、多くの芸人たちが日常的に女性蔑視発言をし、そればかりか、そのような発言を「笑い」「芸」などと述べてはばからないが、それらが今回のように「舌禍事件」「差別発言」として取り沙汰されたことはない。そのことはここで改めて考える必要がある。
そして、そういった芸人の筆頭が、松本人志(ダウンタウン)である。