実際、すでに安倍応援団たちはこのプロットに沿った“煽動”をはじめている。たとえば、フジテレビ解説委員の平井文夫氏は、こんな主張を展開している。
〈そこ(憲法審査会)に出てこない野党は、職場放棄以外の何物でもない、と思う。
職場放棄する国会議員に、なぜ我々の税金が、支払われなければならないのか〉
〈だから自民党は、最後は憲法審査会で、出席している議員だけで、憲法改正案を採決し、可決されれば本会議に送る。そして衆参で2/3で可決されれば、粛々と国民投票にかければいい、だけの話だ〉(FNN.jpプライムオンラインより)
繰り返すが、憲法はこの国の最高法規だ。そして、国民から「改憲を急ぐべし」などという大きな声はまったく起こっていない。だというのに、平井解説委員は「野党は職場放棄しているのだから、強行採決してしまえ」と主張しているのである。憲法の重みも国会の存在意義も国民の意見も無視した暴論だ。
だが、どうだろう。これまで法案が強行採決されるたびに、法案の問題点や国会審議をしっかり伝えることもなく安倍応援団たちが「野党は対案を出せ」とがなり立ててきた結果、すっかり国民にもその意見が浸透してしまった。一方、任期中の改憲にこだわる安倍首相にとっては、憲法審査会での与野党協議をすっ飛ばし、国会議員によって改憲案を国会に提出し強行採決を繰り返して国会発議にもっていくことが最短距離となるが、そこで国民から拙速だという反発が起こることは避けたい。そのためには「野党が悪い」論は必要不可欠なのだ。
実際に、今日の衆院憲法審査会の強行開催についてのメディアの伝え方は、これが暴挙であるという説明もなく、「野党が出席拒否」という部分を強調していた。このままでは、野党バッシングを利用した改憲のための“恐怖のシナリオ”が現実化してもおかしくはないだろう。
(編集部)
最終更新:2018.11.29 10:24