また、ダルビッシュへの反論で目立ったのが、“安田氏は過去4回も拘束されたのに、何度迷惑をかけたら気が済むのか”というものだが、これにもダルビッシュはこのように切り返した。
〈逆に4回も捕まっていて5回目も行こうって思えるってすごいですよね。毎回死の危険に晒されているわけですよ。でも行くってことは誰かがいかないと歴史は繰り返されると理解しているからではないでしょうか?〉
ダルビッシュが繰り返し強調したこと。それは、事実を伝える人がいなければ多くの人の命が危険に晒されていることも知らされず、その結果、多くの人の命が犠牲になる危険がある、ということだ。
〈ジャーナリストがゼロになったら世界に情報も出ないんだから、殺戮が加速するに決まっているでしょう。ルワンダのジェノサイドなんかまさにそうでしょう〉
〈ルワンダのジェノサイドなんかも50万から100万人が亡くなってる。約100日と短期間すぎたのもあったけど、もっと他国が介入出来ていたら絶対こうなっていないはず。世界の国々もジャーナリストもこういった歴史から人間の弱さ、怖さを学んできたはずなんですよ〉
〈危険な地域に行って拘束されたのなら自業自得だ!と言っている人たちにはルワンダで起きたことを勉強してみてください。誰も来ないとどうなるかということがよくわかります。映画だと「ルワンダの涙」が理解しやすいと思います。ただかなり過激な描写もあるので気をつけてください〉
そしてダルビッシュは、いまSNS上で多く拡散されている、しりあがり寿の4コママンガの画像をリツイートした。それは、学校の教室での児童と教師のこんなやりとりだ。
児童「なぜジャーナリストはわざわざ危険な場所にいくんですか?」
教師「うーん それはね…」「誰かが危険な場所で何がおこっているか、世界に知らせないといけないだろう」「何がおこっているかわからなければ世界は対策もたてられないからね」
そこで教師は、児童に向かって「みんなは危険な場所で何がおこっているか知りたい?」と尋ねるが、児童たちは顔を見合わせて「……」と沈黙。しかし、次に教師が「じゃあ逆に、君たちが危険な場所でくらしていたとしたら、世界にそのことを知ってもらいたい人?」と訊くと、児童たちは揃ってみんなが手を挙げる──。