つまり、こういうことだ。進次郎議員を筆頭に、菅官房長官や二階俊博幹事長などの大物政治家まで動員するなど自民党が総力戦を繰り広げながら敗北したという事実。そして何より、沖縄県民が辺野古新基地建設に反対という民意を国に叩きつけたという事実。そうした紛れもない「事実」を伝えることさえ、「政権批判をしたと圧力をかけられるかもしれない」と怯え、“報道しない”という忖度を働かせた──そういうことではないのか。
実際、約8分間だけ知事選の結果について取り上げた『ひるおび!』では、立川志らくが「遺志を継ぐだけではなく今後、理想を現実にしないと人びとは待ってくれないですよね」「(基地建設を)妨害する、つくらせないっていうのはいいんだけど、それじゃあどうするんだってことですよね」などとコメント。八代英輝も「おそらく辺野古に積極的に賛成の人って国民に誰もいないと思うんですよ」と言いながら、そうした沖縄の民意を「理想論」だと述べた。辺野古の新基地建設に反対することは「妨害」であり、反対という民意は「理想論」でしかない……。つまり、沖縄の声の側に立つのではなく、政権の側から知事選の結果を斬ったのだ。
メディアがこんな体たらくでは、米軍基地問題はいつまでも沖縄に押し付けられたままになり、基地反対派の市民を暴力によって排除するという民主主義国家にあるまじき安倍政権の強権的な態度は一向に改まらないだろう。
さらに、今晩からは『報道ステーション』(テレビ朝日)がリニューアル初日の放送を迎える。前回知事選では、選挙翌日の放送で古舘伊知郎キャスターが辺野古に足を運び、「この海を渡る風が壮絶な悲しみ、あの地上戦となった、本土決戦の“捨て石”沖縄戦のことをささやきかけてきます」とレポート。古舘による翁長新知事へのインタビューを流した。しっかりと沖縄の問題に向き合ってきた同番組が、今回の選挙をどう伝えるのか。そのことによって『報ステ』の真価も問われるだろう。
(編集部)
最終更新:2018.10.01 09:34