いや、安室の発言封じ込めの動きだけではない。逆に、自分たちの知事候補である佐喜真氏を安室と対面させるという計画もあったという。
実は安室が沖縄でラストライブをするというのは、政官界に強いジャーナリストの歳川隆雄氏が「現代ビジネス」でいち早く報じた(8月18日)のだが、このとき、歳川氏は安室のライブが政治マター化する可能性を指摘したうえで、〈佐喜真氏が前市長として「挨拶」の場を確保するはずだ〉と書いていたのだ。たしかに、これについては、同様の見方があった。
「佐喜真氏は、会場となった沖縄コンベンションセンターのある宜野湾市の前市長。知事選立候補にともなって辞職していますが、現職は不在ですから、事実上の市長として挨拶できる可能性がある。ステージで挨拶するのはさすがに無理でしょうが、楽屋に行ってツーショット写真を撮ったりできれば、知事選に明らかに追い風になります」(地元メディア関係者)
いま、ネットでは、ネトウヨたちが「玉城陣営が安室奈美恵を知事選に利用しようとしている」などと騒いでいるが、これが事実なら、むしろ、安室を政治利用しようとしていたのは、自民党の側だったということだろう。
もっとも、安室奈美恵は前述したように、知事選にからむ発言どころかMC自体ほとんどしないアーティストだ。ライブ以外でも、自分の考えや内面を言葉にして表明することは滅多になく、自伝的やエッセイのような本の出版もない。そんな安室がライブで知事選に関係するような発言をするわけがないのである。
たしかに翁長知事への追悼コメントを出したのは異例だったが、それは義父の言うように、それだけ純粋に翁長知事への強い思いがあったからだろう。
ところが、官邸と自民党は、それを陰謀論的に捉え、勝手に怯え、口封じを図り、逆に自分たちに有利なように政治利用しようと動いていた。国民のための政策を考えるのではなく、国民を騙す謀略のことばかり考えている安倍政権だが、ここまでくると、怒りを通り越してもはや、滑稽としか言いようがない。
(編集部)
最終更新:2018.09.17 01:24