街頭演説についてもも同じだ。当初自民党は、8日に安倍首相と石破氏による街頭演説を東京・銀座で行う予定としていた。これも震災を受けた自粛によって中止(延期して行われるかどうかは不明)となったが、実は、もともと安倍首相サイドは今回の街頭演説をやめたくてしかがたなかったようだ。
というのも、地震発生前からこの演説日程はネット上で話題になっており、SNSでは銀座で安倍首相に抗議しようという市民の呼びかけが広がっていたからだ。
思い起こされるのは昨年の都議選だ。森友・加計問題などで、安倍首相の説明責任を放棄した態度に有権者の不満が爆発。安倍首相が秋葉原で応援演説をしていた際、「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」と吠え、抗議する市民を「こんな人たち」呼ばわりした当然、批判が殺到したが、安倍首相はといえば、こうした態度を改めようとせず、その年の秋の解散総選挙では遊説日程を隠すという姑息な“ステルス作戦”に及んだことも記憶に新しい。
今回の総裁選でも安倍陣営は、御用メディアや応援団が守ることができない街頭演説で、安倍首相に直接批判の声を届けようとする市民の動向にかなり警戒していたはずだ。だからこそ、地震による「自粛」でさっさと演説だけを中止にしてしまったのである。
まさしく、自分にとって都合のいいところにだけ「地震」を大義名分にやめてしまう。“災害の政治利用”としか言いようがない。
改めて言う。自民党総裁選は絶対に延期すべきである。北海道地震だけでなく、台風21号による災害への政府対応も不十分な状況だ。何度でも繰り返すが、政府は被災地域の支援に全力をあげなくてはならないし、その“片手間”に事実上の次期総理を選ぶことは許されない。
それでも、安倍首相と自民党が総裁選の日程を変えないというのであれば、もはやこの国は民主主義国ではない。
(編集部)
最終更新:2018.09.08 01:19