いずれにしても、この間の自民党の対応は、批判に耳を傾ける姿勢さえないことを表している。
自民党はいまだに杉田議員を処分することはおろか、公式な見解も公表していない。杉田議員の主張を、自民党は事実上、容認しているのだ。
いや、それどころか、杉田議員自身が自民党の反応をこのように報告してみせた。
〈LGBTの理解促進を担当している先輩議員が「雑誌の記事を全部読んだら、きちんと理解しているし、党の立場も配慮して言葉も選んで書いている。言葉足らずで誤解される所はあるかもしれないけど問題ないから」と、仰ってくれました。自民党の懐の深さを感じます。〉(22日のツイート、現在は削除)
しかも、杉田議員はこうもツイートしていた。
〈自民党に入って良かったなぁと思うこと。
「ネットで叩かれてるけど、大丈夫?」とか「間違ったこと言ってないんだから、胸張ってればいいよ」とか「杉田さんはそのままでいいからね」とか、大臣クラスの方を始め、先輩方が声をかけてくださること。〉(現在は削除)
事実、総裁である安倍晋三に次ぐ自民党のナンバー2である二階俊博幹事長は、24日の会見で杉田議員の主張を「人それぞれ政治的立場、いろんな人生観、考えがある」と述べて擁護。差別言辞を「いろんな人生観」として容認したのだ。
上川区議も指摘しているが、この対応は、これまでの自民党のLGBT差別発言をめぐる対応と比較しても、ありえないものだ。実際、竹下亘・自民党総務会長は「同性パートナーとの晩餐会出席には反対」発言で、「反省している、いわなきゃよかった」と事実上撤回し、「おかまを支援する必要はない」と発言した自民党の新潟県三条市議も「不適切」だと撤回した。
ところが、杉田議員は、謝罪も撤回もせずに許されているばかりか、幹事長や大臣クラスにかばってもらっているのだ。これは明らかに、杉田議員のバックに安倍首相がいるからだろう。
本サイトで何度も指摘しているように、杉田議員の差別的主張は自民党入党以前から繰り返されていたものであり、それを知った上で安倍首相は「杉田さんは素晴らしい!」と絶賛し、自民党に引き入れた。つまり、そのLGBT差別思想は安倍首相を筆頭にした自民党主流派の人権をないがしろにする思想と完全に地続きのものだ。そして、だからこそ、自民党は杉田議員を処分せず、守り続けているのではないか。