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東京五輪ボランティア条件に「ブラック」「やりがい搾取」と批判殺到! 過労死も出した東京五輪“滅私奉公”体質

 ボランティア人員の募集にしてはずいぶんと条件が厳しいように思えるが、それもそのはず。仕事の内容を確認すると、タダ働きとは思えないほど知識や技能が必要な仕事が含まれているのだ。

 いわゆるボランティアの仕事で頭に思い浮かぶであろう、会場での道案内やチケット確認作業のほかにも、空港や会場での海外要人の接遇、関係者が会場間を移動する際の車の運転、選手がメディアからインタビューを受ける際の外国語でのコミュニケーションの補助、ドーピング検査のサポート、大会を記録するための写真や動画の編集サポートといったものが含まれている。これは、タダ働き人員で補うレベルの仕事ではなく、プロの通訳やドライバーを雇って割り振るべき仕事だろう。

 しかも、まだ問題はある。組織委員会は競技会場外での道案内などの仕事で中学生・高校生向けの募集枠を設ける方針であり、このことについては「教育的価値が高く、スポーツボランティアの裾野を広げる観点から有意義な取り組みだ」(18年3月28日付日本経済新聞)としているが、運用次第では内申点や推薦を人質にした半強制のものとなる可能性も指摘されており、危惧される点は多い。

 さらに絶望的なのは、このように「オリンピックのため」というお題目のもとに、自己犠牲と滅私奉公を強い、その一方で対価はまともに払わない動きは、なにも今回に限ったことではないということだ。

 昨年7月、組織委員会は選手村内の施設を作るための木材を「無償」で提供する自治体を全国から公募する旨を明らかにした。「木材を全国から募ることで大会機運の醸成につなげ、コスト削減と大会の記憶が残る取り組みにしていきたい」と説明しているが、オリンピックのため潤沢な予算が投じられているはずなのに、なぜ「無償」で木材をかき集めようとするのか。そして、なぜそれが「大会機運の醸成」につながるのか。一般的な感覚では理解に苦しむ。

 このように、オリンピックのために滅私奉公を強いる構造は、人命をも軽く扱う。

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