では、誰が改ざんを命じたのか。じつは前川氏は、本日発売の「週刊朝日」(朝日新聞出版)のなかで、問題の核心に迫る指摘をおこなっている。
それは、文書の改ざんも、そして異常な土地取引も、同じ人物による指示があったのではないかというのだ。
「官僚が、これほど危険な行為を、官邸に何の相談も報告もなしに独断で行うはずがない。文書の詳細さを見れば、現場がいかに本件を特例的な措置と捉えていたかがわかる。忖度ではなく、官邸にいる誰かから「やれ」と言われたのだろう」
「私は、その“誰か”が総理秘書官の今井尚哉氏ではないかとにらんでいる。国有地の売買をめぐるような案件で、経済産業省出身の一職員である谷査恵子氏の独断で、財務省を動かすことは、まず不可能。谷氏の上司にあたる今井氏が、財務省に何らかの影響を与えたのでは」
つまり、森友問題はそもそも土地取引の段階から、安倍首相の右腕である今井総理秘書官が安倍夫妻の名代として関与し、さらには文書の改ざんも命じたのではないかと見ているのだ。これはようするに、昭恵夫人サイドからの働きかけのみならず、夫である安倍首相サイドも土地取引に関与していたことになる。それが明るみにならないよう、財務省への実行部隊であった今井総理秘書官が改ざんを命じた……。これは十分考えられるシナリオだろう。
きょうの集中審議で安倍首相は、改ざん前文書の内容について「答弁をひっくり返すような記述ではまったくない」として、自分の答弁が改ざんのきっかけになったという疑惑を否定した。だが、実際は、昨年2月17日の進退に言及した答弁だけではなく、土地取引にまで官邸がかかわっていたために改ざんは引き起こされたのではないか──。力学的に官邸の関与が明らかである以上、佐川氏のみならず、谷査恵子氏や、土地取引時の理財局長で安倍首相と異例の回数で面談をおこなっていた迫田英典氏、そして安倍昭恵夫人の証人喚問によって、官邸関与の事実をあぶり出すことが必要不可欠だろう。
(編集部)
最終更新:2018.03.19 09:24