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120作目『北の桜守』でも…吉永小百合が戦争に向き合う理由!「戦後70年を過ぎた頃から戦争の足音が近づいてきた」

 そんな社会状況を反映するかのように、昨今の彼女は近づきつつある戦争の足音に警鐘を鳴らす姿勢を強めている。その背景には、いま声をあげなければ、そう遠くない未来、平和を祈願する言葉を口にすることができないような社会が訪れるかもしれないからだ。それは、歴史が証明していることでもある。「女性自身」(光文社)2016年8月23・30日合併号に掲載された姜尚中氏との対談のなかで、彼女はこのように語っている。

「私は若いころ、母に『なぜ戦争は起こったの? 反対はできなかったの?』と質問したことがあるのです。
 そしたら母は、ひと言『言えなかったのよ……』って。言えないってどういうことなんだろうと、その時には理解できなかった。けれど最近、母の言っていた意味がわかります。今の世の中を見ていると息苦しい感じがして」

 彼女にとっては『北の桜守』の前の出演作となる、2015年公開『母と暮せば』(監督:山田洋次)も、二宮和也演じる原爆で亡くなった息子の幽霊と、吉永小百合演じる母との交流を描いた、「戦争と家族」にまつわる物語だった。

 二作続けてそうしたテーマの作品への出演を決めた背景には、映画こそが、過去に起きた悲劇を伝え、また、平和の儚さと大切さを学ばせるのに最適なものだという思いもあるのかもしれない。「女性自身」(光文社)2018年3月27日号のインタビューで彼女は『北の桜守』についてこのように語っている。

「映画全体はもちろんフィクションなんですが、いろんな史実を取り入れて物語が作られています。戦争って、どこが勝った、負けたじゃなくて、要は人を殺すことなんだという事実を、絶対に忘れちゃいけない。
 映画を通じて現代の人にも、わかりやすくこうしたメッセージを伝えることは大事なことなんだと思います」

 安倍政権とその応援団たちは、先の戦争を肯定し、「戦争で国のために死ぬこと」を美化する教育とプロパガンダを全面的に展開している。そして、朝鮮半島情勢が対話ムードへと進むなか、国際的に孤立しながらもなお圧力強化を口にし続けている。

 だからこそ、私たちは安倍政権が改ざんする歴史とは違う、本当の歴史に向き合い、戦争の悲惨さをしっかり胸に刻みつけなければならない。

最終更新:2018.03.18 07:19

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