しかし、オリンピックに参加する当の選手たちは、周囲が煽る対立になど与していないようだ。その象徴が、2位となった韓国の李相花選手と小平選手が寄り添い、お互いに健闘をたたえ合った場面。これこそが「平和の祭典」たるオリンピックのあるべき姿だろう。また本日行われたフィギュアスケートのエキシビションでは、羽生選手は観客に向かって「カムサハムニダー」と韓国語で叫び、開催地への感謝を表していた。
ちなみに、日本のメディアは平昌オリンピックにおける不手際を執拗に揚げ足取りし続けたが、言うまでもなくこれは2年後の東京オリンピックのときにそっくりそのままブーメランとして返ってくるものである。
7月後半から8月頭の酷暑の時期の開催となる東京オリンピック。毎年熱中症の患者が数多く出るような天候のなかで行われる大会は、平昌五輪以上に過酷なものとなり、想定外のトラブルにも多く見舞われるだろう。
そういった問題が起こった際、日本が、眼前に立ちはだかる障害をスムーズに乗り越えられるとは、とてもではないが思えない。実際、すでに新国立競技場建設問題をはじめ数多くのトラブルが発生し、いずれも根本的な解決ができていないままだ。
ご存知の通り、東京オリンピックは招致段階で喧伝されていた「コンパクト五輪」の構想はもろくも崩れ去り、当初の予算を大幅に超過。雪だるま式に膨れ上がり続けている。
日本のメディアは平昌オリンピックにおける公共交通機関の滞りを嘲っていたが、東京オリンピックだって輸送計画に不安を抱えている。平昌とは違って大都市での開催なので、「観客が終電を逃しました」レベルでは済まない大きなトラブルとなる可能性も指摘されている。
しかし、この国のメディアには、平昌で起きた諸問題を他山の石と捉えようとする真摯な姿勢はついぞ見られなかった。このまま2020年まで自国の問題は見て見ぬふりをし、「日本スゴい」と愛国ポルノに耽溺し続けていくのだろうか。
東京オリンピックはどんなグロテスク愛国ポルノショーになってしまうのか。そのことがあらためて恐ろしくなった、平昌オリンピック報道だった。
(編集部)
最終更新:2018.02.27 03:34