小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

安倍政権を批判したら“反日”呼ばわり!SAPIOと産経が展開する“反日日本人”バッシングの異常

 中野教授が公開した取材申し込み及び質問文によれば、「SAPIO」は、中野教授が韓国紙ハンギョレ(2017年10月25日)のインタビューに対し、「安倍首相の失脚が右傾化を終わらせるとは思わない。ただし、安倍首相が右傾化を進めたのは事実であり、とりあえず彼を止めることが重要だ」と発言したことを引用したうえで、このように質問していた。

〈ご発言は「日本批判」と読めますが、記事の言葉通り、先生の主張を反映したものと認識してよいでしょうか。〉
〈韓国の反日的な宣伝活動に協力している、もしくは利用されているとの懸念が生じますが、その点についてはどうお考えでしょうか。〉

 件の「SAPIO」の記事では中野教授について触れられていないが、同企画のための取材だったことは明白だろう。しかし、ちょっと待ってほしい。ハンギョレのインタビュー全文を読んでも、中野教授は先の衆院選と安倍政権下における日本社会について述べているだけで、「SAPIO」が言うような「日本批判」とか「反日的な宣伝活動に協力している」というような箇所は一切見当たらない。

 実際、中野教授がハンギョレに語っているのは、「反安倍票が分散し、与党が圧勝したのだ。安倍首相が支持を受けたと見ることはできない」とか「安倍首相は『戦後レジームからの脱却』、『日本を取り戻す』などを掲げ、戦後体制を中断させようという態度を示した。戦後体制を守るのが保守なら、戦後体制を崩壊させようとする安倍首相は保守派ではないとも言える」というような分析・批評である。

 同じく、「SAPIO」の記者が引用している「安倍首相の失脚が右傾化を終わらせるとは思わない。ただし、安倍首相が右傾化を進めたのは事実であり、とりあえず彼を止めることが重要だ」という発言もそうだ。もし、この発言が「反日」と呼ばれるのならば、安倍政権=日本ということになり、政権批判はすべて「反日的な宣伝」になってしまうだろう。これでは、自由を擁護したり、戦争を批判したりする言説までが「反日」呼ばわりされ、弾圧の対象となった戦前・戦中の日本とまるきり同じではないか。

 しかも、こうしたトンデモ攻撃を繰り出しているのは、「SAPIO」だけではない。産経新聞は昨年10月19日の社説「産経抄」で、「日本を貶める日本人をあぶりだせ」と題し、同種の“反日バッシング”を露骨に展開していた。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。