まるで、憑依型の役者のような話だが、実際、平手のインタビューを読めば、「週刊文春」の記事がデタラメなどではないことがわかる。
「ROCKIN’ON JAPAN」(ロッキング・オン)2017年12月号に掲載されたインタビューで彼女は「不協和音」について、命を削る曲であるとし、このように語っている。
「“不協和音”は気持ちが入ったり、その世界に行かないとできないです。だから、できる時とできない時がだいたいわかるので、(ライブで)『今日はできないな』と思ったらできないし、やれるとしても自信はないです」
また『サイレントマジョリティー』についても、「STREET JACK」(KKベストセラーズ)2017年12月号に掲載された平手のインタビューのなかで取材に同席していたマネージャーは、かつて彼女が言っていた「私は、エネルギーの充電に時間がかかると思うんです。『サイマジョ』を歌ってエネルギーを出したら、次の曲を歌うのに、また充電させて放出する。このエネルギーが溜まりきらないと放出できなくなる」という発言を紹介している。
この夏、欅坂46は8月2日の神戸ワールド記念ホールを皮切りに1カ月で全国6カ所(11公演)をまわるアリーナツアー『真っ白なものは汚したくなる』を開催したが、平手はそのツアーで体調不良から途中退場を繰り返した。
特に、同月16日に日本ガイシホールで行われた名古屋公演では、途中退場ではおさまらず完全休演になってしまっているが、その原因は、茨城県ひたちなか市で行われた『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』(欅坂46は12日に出演)だったと、前掲「ROCKIN’ON JAPAN」で語っている。
平手は「不協和音」をセットリストに組み込むことについて「できなかったら心が折れるから、そうなった時にどうなるか自分でもわからない」として不安を感じていたが、しかし、「ギリギリまでスタッフさんと相談」した末、「不協和音」を歌うことになったという。
だが、結局、「ROCK IN JAPAN」での「不協和音」は満足のいくものではなかった。その影響を平手は「ロック・イン・ジャパンでダメになっちゃって、次の名古屋公演かな、出られなかったです」と語っている。
それは周囲の大人たちの発言も同様だ。「QJ」vol.135(太田出版)でインタビューに応えている欅坂46運営委員会委員長の今野義雄氏は「彼女は表現者としてだけではなく、クリエイターとしてもいいものを作りたいという気持ちが強く、常に100点以上を目指していると思うんです。だからこそ「100点が取れない」とわかった瞬間、自分の中で失格の烙印を押してしまう部分がある。それが全国ツアーで現れてしまった。世間的には平手の体調不良を心配する声もありましたが、あれは「表現への苦しみ」との戦いに見えました」と語り、平手の体調不良は過労や病気などに端を発する体調不良ではなく、クリエイティブに関わる彼女の精神状態に起因するものであると証言している。