もっとも、ここまでならまだ予想の範囲内。問題はその後だった。松本はなんと、この日、安倍首相と晴れて“お友だち”になったことを自慢し始めたのだった。
松本「これが偶然に今日、楽屋が隣、安倍首相だったのよ、俺の。ちょうどまた安倍さんと会うって。安倍さんすごい(感じが良くて)『ヨッ!』と(挨拶された)」(右手をあげるジェスチャー)
スタジオ「おー(笑)」
松本「するとまたねえ、『蜜月関係』みたいに言われたら嫌なんですけど。いや、ホントたまたまなんですけど。またここで会うかっていう」
東野「(安倍首相は)『ヨッ』っていう感じですか?」
松本「『ヨッ!』っていう感じですね」(右手をあげるジェスチャー)
東野「(松本さんは)どうしたんですか!?」
松本「『ヨッ!』っていう感じで」(右手をあげるジェスチャー)
スタジオは爆笑だったが、いやはや、微塵も笑える話ではない。実際、『ワイドナショー』の24日放送分を収録した22日、安倍首相はフジに別番組の収録のために訪れていたのだが、ようするに松本は安倍首相から「ヨッ」と挨拶されたのがよほど嬉しかったのだろう。政治権力とベッタリであることを恥じもせず、むしろ“アベ友”になったことを誇る。まったく頭が痛くなってくる。
実際、番組ではその後、先日の『THE MANZAI 2017』で政治を批判する漫才を披露したウーマンラッシュアワーの話題に移ったのだが、やはり松本は安倍政権側丸出しで発言。上から目線で「いや、僕もすごくよかったと思うんですよ、うん、よくできてたし」と一応評価しながらも、続けてこうウーマンに苦言を呈したのだ。
「あればっかりになっちゃうとね、また彼らが狭くなっていくからね。あと、あの後、出てくるコンビがちょっとやりづらいかなーみたいな。調和みたいな部分では、あのー、少しね、どうなんやろ?って部分はあるんですけど」
つまるところ、安倍首相を大好きな松本が言う「調和」とは、政治批判のネタを封印することなのだろう。そのお笑い界での地位を考えれば、ほとんどファシズム的発想としか言いようがない。
だが、最悪なのは、こうした態度の松本を番組が一丸となって擁護していたことだ。なかでも下劣だったのがゲストの武田鉄矢。松本らの安倍首相との会食について「そんなんいいんじゃねえの? それも割り勘なんだから。妙な食事会じゃないわけですから」と徹底的にかばったかと思えば、逆に、世間の批判の声に対してこんなふうに攻撃すらしたのである。
「なんか、みんなやたら反権力とか、政治を批判したり、首相にむかってバカと言ったりなんかすると、ちょっとカッコよがるっていう。なんかそういう風潮ありますよね」
「相手が殴り返してこないことを見てて、『かかってこい』って言う人いますよね。それはズルいと思うんだよね。だから、誰とでも飯を食うっていうのは、とても大事な人間の部分じゃないかなって」