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ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第3号

セクハラで訴えた労働者をクレーマー扱い、「口がくさい」「家族自慢がウザい」で雇い止め…トンデモ労働審判

 何が言いたいかというと、とにかく初回期日までの準備が肝要である、ということである。労使どちらであっても、初回期日の労働審判委員会からの指摘を待って、「あっ、その点ですか、次回までに主張と証拠を補充します」というわけには、基本的にいかないのだ。

 こうなると、勢い、初回期日までに出せるものはすべて出しておこう、という発想になるのはわかる。わかるのだが、ちょっと待ってほしい、という主張や証拠がいくつかあるので、今回はその話をしたい。

 かつて、セクハラと解雇の問題で申し立てていた労働審判で、相手方から「申立人は、以前勤務していた別の会社との間でも労働審判を行い、多額の解決金を得た」という主張を本当にされたことがある。さすがにこれには抗議したが、未だに信じられない思いである。

 労働者が過去に労働審判制度を利用した、それが、セクハラの成否や解雇の有効性に何の関係があるというのか、まったくもって意味不明な主張である。なお、本人に確認したところ、過去の労働審判というのは会社側が申し立てたものであったらしく、ますます意味不明であった。

 当然であるが、仮に、労働者が労働審判を複数回申し立てたとしても、労働者に何ら不利になるものでないのは当然であるし、そのようなことがあってはならない。

 他にも、「セクハラと言っているそっちがむしろセクハラ」と言わんばかりの主張とか、「これほど優秀な人をこちらから雇止めするはずがない(だから労働者側が自主的に辞めたのだ)」といった主張など、いろいろ目にしてきた。

 また、労働審判でよく目にする証拠のひとつに「陳述書」がある。「陳述書」とは、労働者側であれば労働者本人の、使用者側であれば、代表者や、当該労働者の働きぶりを知っている人(上司、同僚、部下など)の言い分を、「私は……です」という一人称のかたちで文章化し、その本人が署名押印したものである。

 使用者側が提出してくる「陳述書」に、まだその会社で勤務している従業員が署名押印している場合、陳述書の内容が会社の意向に沿ったものになるのは、言わば当然である。したがって、労働審判委員会も、陳述書の内容をすべて真に受けているわけではない。

 それでも、出てくるのである。

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