室井 しかも、安倍政権と自民党が怖いのは自分たちに逆らう人に対して「愛国心がない」という雰囲気を作り出し、切り捨てる姿勢です。本当におっかないです。そんな政府与党だからこそ、野党はもっと連携して頑張ってほしい。連携のポイントは原発と安保の2つだけでいいと思うんです。それ以上踏み込むと、「共産党を入れるな」とかまたいろいろと出てきてわかりづらくなりますから。わたし個人としては共産党とも連携してほしい。でもなぜ今でも共産党にアレルギーのある人が多いんだろう。
辻元 世代によってイメージは違うように思います。
室井 自衛隊や天皇陛下については、考え方が全然違うじゃないですか。次の選挙でまとまるならとりあえず安保と原発のことだけでいい。だから仲が良いところを見たいと思っちゃいます。市民のために連携している姿を見たい。しかも共産党はすごいですよね。新聞もあるし、シュレッダーゴミを拾ってきて貼り付ける人たちがいるんですから。だから資料が膨大なんです。だから党は違っても仲良くやってほしいです。安保法制のときには野党がいっしょにたたかいましたよね。
辻元 安保法制のときや、参議院選挙のときなど、市民からの呼びかけで野党は連携したんです。さまざまな地域事情があったけれど、市民の力で乗り越えた。
室井 自民党には公明党がいるじゃないですか。雨が降っても風が吹いても何があってもある程度票が入る。なぜそれを見習わないんだろうと思ってしまいます。組織力としては公明党の次は共産党だと思う。両者は、選挙のときにすごい動員力がある。でも、男性って簡単に連携できないし頭を下げられない。ガチガチに固まっていて、少しでも意見が違っていたり、今まで自分の敵だったり、歯向かったことのある人は「ずっと許さない」と思ってるんだろうな。それに自分より上にきそうな人は「邪魔をしておこう」とか。
辻元 「強くなりたいなら、柔らかくなる」が大事なんですよね。
室井 「今、これだけで繋がる」でもいいじゃないかと。
辻元 そうですね。
室井 あと、女性議員が少ないのはなぜだと思います?
辻元 そもそも、立候補する際にハンデが多いからかな。子どもがいると子育てや家庭と両立させるのが難しい、パートナーの協力が得られない、と。それは普通の仕事と一緒だけど。
室井 あと、女性は男性より批判されがちですよね。
辻元 されますね。餌食のようにバッシングされる。
室井 わたしもすごいですよ。ちょっと安倍さんに逆らうような発言をすると、「室井は日本人ではない」といったヘイトな悪口や、「あいつは売国奴」なんて言われるんです。わたしは意外と日本じたいは好きなんです。嫌いなのはその日本を、平和を、立憲主義を壊そうとする安倍。ヘイトを容認して、ネトウヨと一体となってる安倍さんが嫌いなんです。
辻元 強硬な態度は振り子にたとえられると思うの。振り幅が同じだと共振してどんどん振り幅が大きくなるじゃない? トランプ政権の出現はヘイトと共鳴して、どんどん振り幅が大きく激しくなっているのではないかと思う。今、わたしたちが新しいヘイトに立ち向かいいろいろなことをやっているけど、最前線に立つ人はバッシングされる。でも、達観しながら闘っていかないと、って思っています。
(後編につづく)
辻元清美 立憲民主党衆議院議員、国対委員長。1960年生まれ。早稲田大学教育学部卒業。1996年 衆議院選挙にて初当選。2009年 国土交通副大臣(運輸・交通・観光・危機管理担当)、2011年 災害ボランティア担当の内閣総理大臣補佐官を歴任。民進党幹事長代行、衆議院憲法審査会委員、内閣委員、立憲フォーラム幹事長、NPO議員連盟共同代表、児童擁護議員連盟会長など。
室井佑月 作家、1970年生まれ。レースクイーン、銀座クラブホステスなどを経て1997年作家デビューし、その後テレビコメンテーターとしても活躍。現在『ひるおび!』『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS)、『あさイチ』(NHK)などに出演中。「週刊朝日」「女性自身」「琉球新報」などにコラム連載を持つ。
最終更新:2017.12.18 11:37