仕事は相変わらずシュレッダー係のまま。また、「罪状」などと書かれた解雇通知の紙も貼られたまま。さらに、A氏が仕事をするシュレッダー機の前には、A氏の写真の切り抜きに「北朝鮮人は帰れ」の文字が書かれた紙が貼られていたという。
解雇を撤回しながら、謝罪をするどころか、社員に対してヘイト攻撃を仕掛けるなんていうのは、常軌を逸しており、まともな企業がやることとは思えない。
これだけでも十分に異常な企業だが、話はまだ続く。ウェブサイト「日刊SPA!」のインタビューに応じた井ノ口晃平副社長は、ブラック企業大賞に対して「企業恐喝まがいの行為をして、金銭を要求することが真の目的」と話のすり替えを行ったのだ(ちなみに、井ノ口副社長は、こういった会社側の対応を批判するユニオン側の人間に対してヤクザまがいの恫喝している動画がネット上に流出し、炎上している)。
「ブラック企業大賞を構成する実行委員にはジャーナリストやNPO法人代表、弁護士、ユニオン関係者などが名を連ねています。社会正義の名の下に、ブラック企業大賞をエサに企業恐喝まがいの行為をして、金銭を要求することが真の目的なのかもしれません」
ブラック企業大賞の実行委員には、ジャーナリストやNPO法人代表、弁護士、ユニオン関係者などが名を連ねているが、彼らの多くは、労働被害や非正規労働、貧困、格差問題に取り組んでいる人たちで、このプロジェクトにも全員ボランティアで参加している。企業恐喝なんてありえないし、そんなことができる組織形態でもない。
自らの企業体質を改めるどころか、話の矛先を変えるような卑怯な手口には批判が殺到した。二度もブラック企業大賞にノミネートされるという恥ずかしい状況になったのも身から出た錆といえよう。
ブラック企業大賞はこれまで、電通(2016年大賞)、セブン-イレブン・ジャパン(2015年大賞)、ヤマダ電機(2014年大賞)といった企業が受賞しているが、ご存知の通り、ネットニュースでは毎年大きな話題となるのにも関わらず、テレビでこれらが報じられることはない。これらの企業は大手メディアにとっては大スポンサーであり批判することがタブーとなっているからだ。
今年はどの企業が大賞に選ばれるのか、そして大手メディアはそれを報じることができるのか。注目して見ていきたい。
(編集部)
最終更新:2017.12.03 10:06