実際、「義家副大臣レク概要」と題された内部文書では、「平成30年4月開学で早くやれ、と言われても、手続きはちゃんと踏まないといけない」「やれと言うならやるが、閣内不一致(麻生財務大臣反対)をどうにかしてくれないと文科省が悪者になってしまう」と綴られている。また、「10/4義家副大臣レク概要」では、「私が萩生田副長官のところに『ちゃんと調整してくれ』と言いに行く。アポ取りして正式に行こう。シナリオを書いてくれ」「斎藤健農水副大臣に話した際には「何も聞いていない。やばい話じゃないか」という反応だった」という言葉が、義家副大臣の発言として記されているのである。義家副大臣は当初、加計学園獣医学部開学に消極的な姿勢で、この話が無理筋だという認識をもっていたことが萩生田光一官房副長官や斎藤農水副大臣とのやりとりにも明らかに見てとれるのだ。
この間に何があったのか。本来、義家前副大臣には説明をする責任があるが、それがいまや官邸が描いたストーリーをただ主張するだけの質問者になっているのである。これでは委員会の時間の無駄としか言いようがない。
現に、きょうの文科委員会ではこんなこともあった。
義家議員は設置審が閣議決定された獣医学部新設条件である「4条件」について、義本高等教育局長から「いわゆる4項目につきましては昨年11月9日の追加規制改革事項の決定の際に関係省庁において4項目が満たされていると確認された」という答弁を引き出すと、「構想がしっかりと申請に盛り込まれた上での設置審での議論であった」とまとめた。
しかし、そのあとに質問に立った立憲民主党の逢坂誠二議員は、この「4条件」が満たされていると誰が判断したのかと問うと、長坂康正内閣府担当大臣政務官はしどろもどろに。逢坂議員が検証しようとした4条件の「現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具現化」という1つ目の条件で長坂政務官は質問に答弁ができない状況が起こり、何度も審議は中断してしまった。当然の話だ。1つ目の条件だけに限らず、4条件すべてが国家戦略特区諮問会議で検証された形跡がないのだから。
そもそも、野党の質問時間を削減しようという動きは、不祥事連発の「魔の自民党3回生議員」が「活躍の場を確保したい」という狙いから提案され、それを受けて安倍首相が配分見直しを指示したという建前だったはず。それが蓋を開けてみれば、きょう自民党から質問に立ったのは、疑惑の当事者である義家議員と、当選4回の橘慶一郎議員だった。結局のところ、「3回生議員からの提案」という流れは、「野党の質問を削れ」という安倍首相の指示を露骨にしないためにとった形式上の話にすぎないのだろう。
国会を与党の茶番劇場にしてはいけない。きょうの義家議員も質問によって、そのことがはっきりしたはずだ。
(編集部)
最終更新:2017.11.15 10:04