エイベックスがブラック体質なのは社員に対してだけではない。所属アーティストに対しても同様である。
「ようかい体操第一」でおなじみのDream5(16年に活動を終了)でリーダーを務めていた重本ことりは、自伝本『黒い小鳥』(鉄人社)のなかで、月給が家賃と高校の学費が差し引かれたうえではあるが、それでもわずか2万円しかなかったエピソードなどを明かしている。しかし、それよりももっとひどい逸話がある。
彼女がエイベックスから独立した後、かつて同じ事務所に所属していた仲間と連絡を取れないよう圧力をかけられたというのである。
彼女は16年末をもってエイベックス・マネジメントとの契約を終了して別の事務所に移籍しているが、それを機に、かつて良くしてくれたクライアントなどがいっせいに連絡を絶とうとしてきたうえ、挙げ句の果てには、仲良しだった先輩の結婚式にすら出席することができなかったという。
なぜこんなことが起きたのか? その疑問は、すぐに明らかになる。『黒い小鳥』にはこのように綴られている。
〈ある日、私は前の事務所の子からこんなことを言われました。
「実はね、事務所の人からことりと連絡をとるな、誘われても会ったりするなって言われているんだ。だから、ホントにごめんね。連絡とってるのがバレたら芸能人として活動するのは無理になっちゃうし」
それを聞いて、本当に悔しかった。本当に悲しかった〉
そして、極めつけは、株主総会前に財務状態などについて質問状を送ってきた株主の男を松浦社長が自社経営のレストランに呼びつけ、暴力団の男を同席させた状態で「この野郎、埋めてやるぞ」などと脅迫したとされる事件だ。
これは「週刊文春」11年6月30日号で報じられている。記事によれば、08年にコンサルティング会社を経営する本原克己氏がエイベックスの株主総会前に質問状を送ったものの、総会が開かれた当日は挙手をしても質問の機会を得られることはなかった。そして後日、本原氏は暴力団組長の男を通して松浦社長から呼びつけられ、エイベックス経営のイタリアンレストランへ向かうことに。そのVIPルームには酒に酔い怒り心頭の松浦社長が部下や暴力団組長とともに待っており、ボディガードの男に「こいつ殺しちゃってよ」と言ったり、「この野郎、埋めてやるぞ」などと脅迫してきたという。かなり闇の深いスキャンダルだが、前述の通りバーニングとつながりの深いエイベックスのこの不祥事を後追いするメディアはほとんどなかった。
このように、LDHおよびエイベックスにはブラック企業的な問題がごまんとあるのだが、書籍化される「LDH our promise」にはそのあたりについてどのように記されているのだろうか?
これだけ批判にさらされているのだから、もしかしたら報道されたような問題点を踏まえ、その再発防止策が論じられているのかもしれない。まあ、あまり期待はできないだろうが……。
(編集部)
最終更新:2017.11.08 07:09