しかも、だ。じつは本日9月22日は、アメリカでリンカーン大統領が奴隷解放予備宣言を公布した日(1862年)でもある。たんなる偶然にしては、あまりに出来すぎではないか。
さらに、このメッセージは、対ジャニーズや芸能界にだけ当てはまるものではない。これは「逃げる」ことは悪いことだという日本社会の考え方から脱却し、「逃げる」ことはポジティブな行為であると肯定するメッセージだからだ。ジャニーズのみならず、社会に蔓延るブラック企業や全体主義的風潮をはじめ、個を軽視し束縛するすべての価値観を覆す、それこそが「風通しよく」することだと、3人は訴えているのだ。
いや、それだけではない。新たな出発に際して3人は、今後のタレント活動の応援を呼びかけるといったありきたりなテンプレートの挨拶文ではなく、「ボーダーを超えよう」「平和と自由を愛そう」と普遍的なメッセージを投げかけた。これこそが、まさに多くの人びとが愛したSMAPという存在の特異性を示している。
メッセージが発せられた動画では、さまざまな国の、さまざまな人種の、思い思いのファッションに身を包んだ人びとが登場し、「新しい地図」のロゴを掲げている。その動画のクリエイティビティの高さは日本のエンタテインメントを更新させてきたSMAPらしさが光るが、その「SMAPらしさ」とは、見かけ倒しの空疎なものではない、彼らにしか発信できないメッセージがある、という点にある。事実、彼らはそうやって社会に「自由と平和」の尊さを訴えてきたからだ。
たとえば、SMAPの代表曲である「世界に一つだけの花」がシングルカットされたのは2003年3月。それはイラク戦争とほぼ同時期のことだ。そして、この曲のテレビCMでは、「もし、世界中のすべての人が、ありのままの自分を好きになれたら、戦争なんてなくなると思う」というメンバーのメッセージが流れた。