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東山紀之が報道番組キャスター就任前に反差別、反戦の姿勢を改めて表明! 「炎上しても気にしない」発言も

 こうした体験を通じて、東山は小学校時代から差別へ違和感をもち、虐げられている人たちに思いをはせるようになっていった。東山は『カワサキ・キッド』のなかでこう振り返っている。

〈あのころ、桜本の在日の人々のほとんどが、本名を名乗れない状況にあった。地元の小中学校の近くに朝鮮学校があったが、日本人の子どもの間では、『朝校の生徒に会ったら鼻に割り箸を突っ込まれるから気をつけろ』などというデマが流れていたりした。僕は『そんなことないのに!』ともどかしくてならなかった〉
〈(家族ぐるみのつきあいだった)僕より二つ年上のシュウちゃんは地元の公立学校ではなく、朝鮮学校に行っていた。学校は別々だったし、僕は小学二年の終わりに桜本を離れたけれど、中学になるまでときどき遊びに来ていた。中学生になってからは会っていない。
 当時シュウちゃん一家は日本名を名乗っていた。差別のため本名は名乗れない時代だった〉

 東山は『カワサキ・キッド』で、たんに個人的な思い出話としてこうしたエピソードを書いた訳ではなく、具体的な差別批判にも踏み込んでいた。東山は、朝鮮学校無償化見直し問題にも言及している。

〈最近は韓流ブームが起こり、韓国には日本人観光客が何十万人も行く時代になった。一方、高等学校の無償化から朝鮮学校だけが外されたというニュースが入ってきて、いまも変わらない日本の社会の器の小ささも感じる〉

 そのあとも、東山はまったくぶれていない。『カワサキ・キッド』は、本サイトが14年11月に取り上げたことがきっかけで、単行本発売から5年の時を経て15年に文庫化される。単行本が出された10年当時とは異なり、文庫化された15年には嫌韓デモが盛んに行われるようになるなど嫌韓や在日差別の空気がさらに強くなっており、芸能人も韓国やK-POPが好きと発言しただけで「在日」「反日」などと攻撃され炎上するようになっていた。そうした空気を怖れ多くの芸能人が口をつぐむようになるなか、それでも東山は、在日問題について語った同書をなかったことにせず、あらためて文庫として世に問い直した。

 そしていまも、東山は“反差別”の姿勢を貫いている。東山は前掲「AERA」のなかでも、「解剖学の養老孟司先生や法医学の上野正彦先生の本を読むと、人間って、ちょっとメスを入れると誰もがまったく同じだとわかるんです。違いは皮一枚。色だけで、あとはすべてが同じ。それを知ると、差別っていったい何だろうって思いますね」と疑問を提示した上で、こんな提案をしていた。

「差別をなくすには、やっぱり教育だと思う。子どもたちには人の痛みがわかるように育ってほしい。それができれば、教育はほとんど成功に等しい。僕らにできることはまず、近くにいる人と仲良くすること。国単位でも同じじゃないですか」

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