小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

宇野常寛が『スッキリ!!』クビ切り降板の真相を激白! 右翼の街宣抗議で日テレが「右翼批判するな」と言論封殺

 じつは、宇野氏は「右翼批判をするな」と言われた際に番組を降板しようと考えていた、と言う。だが、思いとどまった。〈僕が居なくなると誰もテレビの中からワイドショーの集団リンチ文化や、歴史修正主義を批判しなくなる〉(宇野氏のツイートより)と思ったからだ。しかし結果は、リニューアルを名目にした事実上のクビを言い渡されてしまった。宇野氏いわく「いまこいつは石投げてOK、叩いてOK、悪目立ちした人間、空気読まない人間にみんなで石を投げてスッキリしようという、あの醜悪な、最悪なテレビ文化。視聴率のためだったら歴史修正主義にすらおもねる、あの醜悪なテレビ文化」を内部から変えようとする姿勢は、番組制作側にとっては目障りでしかなかったのだ。

 さらに、宇野氏は『スッキリ!!』MCの加藤浩次氏について言及するなかで、こんなことも語った。

「加藤さんってやっぱテレビ信じてるんだよね。テレビが積み上げてきたものをバカにしちゃいけないとかね。なんか芸能人のゴシップとかさ、市議に対するいじめ的な報道をね、それを望む人たちがいるんだから仕方ないじゃないかって彼は言うんだけど、ぼくはその『仕方ないんじゃないか』と、『鈍感なフリをすることが大人になることだ』っていうそのテレビ的な価値観、イデオロギー自体が、いまの世の中をつまらなくしていると思うわけね」
「これをやってね、みんなぬるくなっていっちゃったんだよ。わかる? そこで鈍感なフリをすること、清濁併せ呑むことが大人になることだと思った瞬間に『いやー大変ですねー、由々しき問題ですねー』『ちょっとあらためてほしいですねー』以上のこと言えなくなるの。まじで。みんなそう。中身のあること一個も言えなくなるの」

 政権の顔色を伺って批判的な報道は抑え、右翼の抗議に加担して歴史修正主義批判という正当な言論を封じる一方で、事務所の力が弱い芸能人や政権に影響しない政治家などは「望んでいる人がいるから」という理由をつけて徹底的に叩く。こうした歪さに目を向けずに報道機関だ、情報番組だと名乗る。それがいまのワイドショーであり、その有り様は「腐っている」としか言えないだろう。

 しかも、日本テレビ系列の読売テレビが制作・放送している『そこまで言って委員会NP』では、この9月から高須クリニックの高須克弥院長がレギュラー出演するのだという。高須院長といえば、〈南京もアウシュビッツも捏造だと思う〉などという歴史修正ツイートに批判が集まり、ユダヤ人人権団体であるサイモン・ヴィーゼンタール・センターも抗議をおこなっている。

 歴史修正主義を批判する宇野氏は番組から降板させ、他方で国際的にも非難を浴びている歴史修正主義者をレギュラーとして出演させる。──日本テレビと読売テレビは、歴史の捏造の片棒を担ぎ、広めようとしているようなものだ。

 今後、歴史修正を批判する者はどんどんとテレビから消され、偽りの歴史と「日本すごい」を連呼する者が重宝されていくのか。今回の宇野氏の“告発”は、テレビの反知性を浮き彫りにしたと言えるだろう。

最終更新:2017.12.07 05:24

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。