「ここでぼくを強引に降板させると、露骨に右翼団体の抗議をきっかけに日本テレビがコメンテーターをクビにしたということが明確なかたちになって表れてしまうので、まあぶっちゃけ、ぼくがどこで何を言うかわからないので、インターバルを置こうという、そういった動きがあったのかもしれません」
番組側は宇野氏を切る理由を「リニューアルのため」と説明しているというが、こうした経緯があり、いまごろになってクビを宣告したのではないかというのだ。
たしかに、宇野氏の同番組における発言は、この歴史修正主義批判のみならず、たびたび炎上してきた。だが、それらのコメントは、ときに極めて重要な指摘を含んできた。
たとえば宇野氏は、東京都知事だった舛添要一氏の政治資金私的流用問題をワイドショーがよってたかって取り上げていたとき、「マスコミのイジメエンターテインメント」と批判。スタジオが凍りつくなか、「この程度のことで大騒ぎしてみんなで楽しむみたいな文化をどうにかしない限り、絶対にこの国よくならないですよ」と畳みかけた。
また、ASKAが覚醒剤で逮捕された際には、テレビがタクシーのドライブレコーダーの映像まで流したことを俎上に載せ、「あれを流したタクシーの運転手もとんでもないし、あれを視聴率目的で流すテレビもクソですよ、はっきり言って。大事なのは更生プログラムと、やっぱりクスリの害をちゃんと訴えること。(中略)『人気歌手がヤクに手を染めました。ちょっと面白いでしょ、変な妄想してるし』というスタンスで(報道を)やるのは、僕は反対ですね」とテレビ批判を展開した。
ワイドショーのコメンテーターながら、当のテレビの問題点を直截的に指摘する。──番組スタッフの意図を汲み取った当たり障りのない感想ばかり発するコメンテーター、あるいは炎上を恐れて保守的な発言を繰り返すコメンテーターが多いなか、宇野氏は空気を読むことなく持論を述べてきた。しかし、そんな宇野氏を起用した番組制作サイドが、よりによって右翼の抗議という言論弾圧に与し、自由な発言を封じようとしたのだから、呆れるほかない。宇野氏の怒りはもっともだ。
「(番組制作側である)彼らのロジックはこうです。『ぼくの主張は、宇野の言い方は、一生懸命番組をつくっているスタッフに失礼だ』。論点おかしくないですか? 一生懸命つくっていれば、歴史修正主義も許されるんでしょうか。一生懸命つくっていれば、いじめエンターテイメントが許されるんでしょうか。しかも、それを疑問視する声を封殺していいんでしょうか。ぼくは、彼らに、軽蔑しか感じません」
「別にね、彼ら個人は右翼でもなんでもないと思うんだよ。ただ面倒を起こしてほしくないからこいつを黙らせよう、なんだよ。で、その結果、俺を本番中に怒鳴ってるんだよ。怒鳴り返す相手ちょっと間違えてない? お前、街宣車に怒鳴れよ、って感じなんだよね」