「大阪航空局に埋設物の撤去・処分費用を依頼いたしまして、それを見積もって、それを前提にして、私どもは不動産鑑定にかけてございます。それを受けましたのが5月の末でございますが、いずれにしても、そういう価格につきまして、こちらから提示したこともございませんし、先方(森友学園側)からいくらで買いたいといった希望があったこともございません」
こう答弁したあと、「やりとりの記録は残っていないのか」と追及を受けた佐川前理財局長は、「個別の面会のやりとり控えについては残ってございません」と返答したが、その「面会のやりとり」が音声として出てきたのだ。しかも、佐川前理財局長の主張とはまったく違い、近畿財務局も籠池理事長も、金額まで具体的に出して土地の価格交渉をおこなっていたのである。これは完全な虚偽答弁ではないか。
いや、あらためて問題にしなくてはならないのは、財務省トップの麻生太郎財務相も同じだ。麻生財務相は「近畿財務局と大阪航空局とで協力して法令に基づいて適正な手続き、価格によって処理された」と言い張ってきたが、これも大嘘だったことになる。しかも、麻生財務相は、佐川氏を国税庁長官に“昇進”させた際、「(国会で)丁寧な説明に努めてきたと認識している」と評価してさえ見せたのだ。その「丁寧な説明」とやらは虚偽だったことがわかったいま、麻生財務相にも大きな責任がある。
財務省にはやりとりを残した文書が残っておらずとも、このような決定的証拠となる音声記録が出てきた以上、憲法に則って野党が要求している臨時国会を一刻も早く開くべきだ。
そして、忘れてはいけないのは、近畿財務局がここまで森友学園に対してへりくだった態度を取り、要望を聞き入れ、不正な売買をおこなった理由は、ただひとつ、安倍昭恵夫人の存在だということだ。
今回の音声記録が出てきても、「籠池氏は昭恵夫人の名を勝手にもち出して近畿財務局を恫喝していた」と擁護する者がいるが、昭恵夫人が取ってきた言動にかんする数々の証拠を見直すべきだ。昭恵夫人は小学校の名誉校長に就任し、籠池夫妻と親密に連絡を取り合い、秘書を使って財務省に働きかけてきたことは、揺らぎようもない事実である。その濃密な関係が、土地取引において財務省から「忖度」を引き出したのではないのか。
臨時国会の開催と、昭恵夫人の証人喚問。これを果たさなければ、いくら安倍首相が頭を下げたところで、そんなものはまやかしにすぎない。
(編集部)
最終更新:2017.12.06 06:09