小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

なぜこんな嘘つきが大臣なのか? 稲田防衛相のウソは“日報隠蔽”だけではない! それでも安倍首相は…

 自衛隊員の命を預かる大臣が、現場の声を無視して嘘を吐きつづける。こんな無責任な態度でよくいまなお防衛大臣の座にいられるのかと愕然とするが、もっとも耳を疑ったのは、今年2月8日の国会答弁だ。稲田防衛相は「戦闘」としなかった理由を、「憲法9条上の問題になるから」と平然と言いのけたことだろう。「戦闘行為」と言うと憲法違反になるから「衝突」と言った、などという詭弁が通用するなら、どんな法律違反も言葉を言い換えれば罪を問われなくなる。大臣であることは無論、ほんとうにこの人は法曹家なのか?と疑わざるを得ない常識外れの詭弁だ。

 さらに、森友問題では、とぼけきった答弁を連発。稲田防衛相は森友学園とのかかわりについて、「私が弁護士時代に森友学園の顧問だったということはないし、法律的な相談を受けたこともない」などと答弁していたが、その後すぐに2004年12月に森友学園が起こした民事訴訟の第1回口頭弁論に出廷していたことが記録によって判明。これは完全な虚偽答弁だ。

 しかも、稲田防衛相は「ここ10年お会いしておりません」などと籠池理事長との関係を必死に隠そうとしていたが、夫で弁護士の龍示氏が昨年1月に籠池夫妻から頼まれて近畿財務局と大阪航空局の職員と面談の場として自身の事務所を提供した上、同席していたことまで発覚したのだ。

 これらの虚偽答弁が見逃されてきたこと自体がまったく信じがたいものだが、稲田防衛相の「嘘」はこれだけに留まらない。

 たとえば、稲田氏は下野時代、TPP批判の急先鋒として「TPPは米国の基準を日本が受け入れ、日本における米国の利益を守ることにつながるからだ。それは、日本が日本でなくなること、日本が目指すべき理想を放棄することにほかならない。TPPバスの終着駅は、日本文明の墓場なのだ」(産経新聞2011年11月7日付)と述べていたが、いざ政権交代を果たすと「TPPはアジア太平洋地域の未来の繁栄につながる枠組みだ」などと言い豹変した。

 また、昨年6月26日に出演したNHKの『日曜討論』で、「自民党の出している憲法草案も、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重、これまったく変えません」と発言。言うまでもなく自民党の憲法改正草案は「国民主権、平和主義、基本的人権の尊重」の3つをことごとく否定する中身で、これもとんだ大嘘だ。

 そもそも嘘つきであるかどうか以前に、大臣の資質など稲田氏にはまったくない。とくに、夫名義で2014年9月以降の約2年間のあいだで“軍事産業株”を大量取得していたことが発覚。稲田氏は防衛相として、その気になれば夫が保持する防衛企業の株価を意図的に吊り上げることだって可能であり、とんでもない話だ。また、稲田氏は「ともみ酒」問題や「在特会との蜜月」問題で週刊誌から追及を受けてはスラップ訴訟を起こしてきた。いずれも敗訴が確定しているが、これは公人であるにもかかわらず自由な報道に恫喝と圧力をかける行為である。

 いや、もっと言えば、「自分の国を守るためには、血を流す覚悟をしなければならないのです!」(講演会で発言)だの、「国民の生活が大事なんて政治はですね、私は間違っていると思います」(創生「日本」東京研修会での発言)だの、「DVという言葉が不当に独り歩きすれば、家族の崩壊を招きかねない」(「別冊正論」第7号)だのと声高に叫んできた人物が大臣、いや政治家であることが異常なのだ。

 そして、こんな人物を自らスカウトして政治家にし、寵愛し、大臣に押し上げ、挙げ句「女性初の総理に」とまで考えていたのは、ほかでもなく安倍首相だ。しかも、今回の日報隠蔽と稲田防衛相の加担にしても、官邸が把握していなかったとは考えがたく、安倍首相も追認していた可能性だってある。来週の閉会中審査では稲田防衛相への追及も行われることは必至だが、同時に安倍首相の任命責任が問われなければ意味がないだろう。

 そして、そもそもこの日報隠蔽は、安倍政権の憲法違反を隠蔽するために起きたものということもあらためて指摘しておきたい。

最終更新:2017.12.06 04:01

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。