しかも、安倍首相の「こんな人たち」発言を、安倍首相同様、官邸も反省するどころか〈左翼活動家〉〈政治テロリスト〉などと同じようにイメージを植え付けることで、さらに“味方と敵”に分断しようと躍起になっている。
それを象徴するのが、菅義偉官房長官の発言だ。記者会見で菅官房長官は「(発言は)まったく問題ない」「きわめて常識的な発言」と断言。「なぜ問題ないのか」と東京新聞の望月衣塑子記者が食い下がると「問題ないから」と、いつものように国民を馬鹿にしたような回答しか返さなかった。
これは無論、安倍応援団たちも同じ態度だ。本日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、コメンテーターの高木美保が安倍首相の「こんな人たち」発言を「民主主義や多様性を軽んじていたのでは。悲しいものを見てしまった」と批判。すると、“官邸のスポークスマン”こと田崎史郎・時事通信社特別解説委員は、なんと、こうやって反論しはじめたのだ。
「そこで反対してた『安倍さん辞めろ』と言っていた人たちには、多様性があったんですか?」
「多様性は、安倍総理ももたなきゃいけない。でも批判する側も安倍さんの意見もある程度受け入れる、発信を認めるかたちにしていかないと民主主義は成り立たない」
田崎の弁は、最高権力者たる安倍首相と一般国民の圧倒的な力の差をまったく無視したうえ、あきらかに反対者は組織に動員された者たちと言わんばかりだが、7月4日放送の『バイキング』(フジテレビ)では、前横浜市長の中田宏も「これねえ、ちょっとプロ的解説するとねえ」ともったいぶった後、こう述べた。
「見る人が見るとわかるんだよね。小籔さんはわかってたけど、あのヤジってる反対派っていうのは組織的活動家なんですよ。安倍さんたちはわかってるわけ。あそこから見て。『あー、来てる来てる。反対陣営の組織が来てる』って」
中田といえば、加計学園が運営する岡山理科大学や倉敷芸術科学大学、千葉科学大学で客員教授を務めるという、まさに安倍首相と同じく加計学園とズブズブの関係にあるわけだが、一体、どうして「組織的活動家」などと言い切れるのだろう。さすがに、このような中田の発言にはMCの坂上忍も「我々一般人の発言の自由があるとする。こっち(安倍首相は)国の最高権力者ですよ? これ同じなんですかって俺はお聞きしたいわ! だって重みが全然違うし、圧力が全然違いますよ!」と声を荒げて反発したほどだった。
また、同日7月4日に日本外国特派員協会で記者会見を開いた百田尚樹は、圧力団体「放送法遵守を求める視聴者の会」の新代表らしく“メディアの偏向報道だ!”とお得意の陰謀論を開陳した。