しかし、残念ながら、そういう露骨な強者の論理こそが受ける時代だ。ネトウヨやホリエモン信者にも同じ傾向があるが、金も権力も地位も持っていない弱者たちが、金や権力や地位を露骨に前面に出して弱者を叩く強者を支持し、喝采の声をあげている。そして、強者はこうした信者の声に調子に乗って、さらにその強者の論理を露骨にしていく。
松本人志もいま、まさにそういう状態にある。松本の言動はもともと保守的だったし、ピントもずれていたが、ここまでひどくはなかった。しかし、2年ほど前、安保法制や安倍首相への支持姿勢がネトウヨたちに支持されたあたりから、急速に右傾化し、露骨に金持ちや権力者の代弁をするようになった。
今回も、ネットで「今の社会は女尊男卑だ」と被害妄想を叫んでいるミソジニーやネトウヨから「さすが松ちゃん」ともちあげられ、調子に乗って、少女への攻撃をしたのだろう。
おそらく、松本はこれからもどんどんこうした傾向をエスカレートしていくはずだ。お笑いのセンスが鈍り、『ワイドナショー』をみても気の利いた面白いコメントひとつ言えなくなった松本にとって、このネトウヨ、強者の論理路線こそが自分の影響力を誇示し、信者を獲得できる唯一の方法になっているからだ。このままいくと、それこそ、何年か経ったら、喋っている内容は、百田尚樹やケント・ギルバートと変わらなくなっていた、という状況になるかもしれない。
しかし、松本はまともなメディアには相手にされていない百田とちがって、吉本興業という後ろ盾があり、テレビでは誰も逆らえない王様として君臨している。その害悪は百田とは比べ物にならない。この大御所芸人の勘違い暴走を止める方法はあるのだろうか。
(酒井まど)
最終更新:2017.12.05 01:35