自由民主党HPより
今上天皇の“一代限り”で「生前退位」を認める特例法案が、明日9日にも成立する見通しだ。政府は「基本的な考え方については将来の先例となりうる」としたが、一方で「例外的措置」ともしている。おそらく、恒久制度化を主張する民進党と真っ向対立すると世論の反発を招くためにごまかしているだけで、本音は“一代限り”のものとしたいということなのだろう。
こうしたやり口は、天皇の退位で必然的に再浮上した女性宮家・女系天皇の問題についても同様だ。自民、民進両党は、特例法案成立に伴って、女性宮家創設の検討を政府に求めることを明記した付帯決議案を衆院で可決。参院でも同文の決議案を可決するが、その文章は以下のようなものになった。
〈政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方のご年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方のご事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。〉
民進党は「女性宮家の創設」にしぼって、「1年を目途」に国会に報告するという検討の年限を入れるほか、交渉の最終盤で決議案にある「施行後」との文言を削るよう求めたが、自民党は拒否。「皇位継承の諸課題」と「女性宮家の創設等」を並列にして、「施行後」の言葉もそのまま残った。
もともと付帯決議は法的拘束力がないため、永田町でも「民進党の面子をたてただけで、自民党は女性宮家の創設を本気でやるなんてことはまったく考えていない」というのが定説になっている。
それにしても、自民党はいったいなぜこうまで女性宮家に抵抗を示すのか。それは、安倍首相自身が強硬な“女系天皇反対派”だからだ。小泉政権下で「皇室典範に関する有識者会議」が設置され、女性宮家創設の議論が盛り上がったときから、当時官房長官だった安倍は「反対派」の急先鋒として振る舞ってきた。実際、第一次安倍政権では女性宮家の議論を封印。その後、民主党野田政権が女性宮家創設議論を復活させたが、安倍が政権に返り咲くとまたもや「白紙化」を宣言した。