憲法26条は「教育を受ける権利」を保障する1項と「子どもに教育を受けさせる義務」を定める2項の条文から成るが、自民党の憲法改正草案ではさらに3項が追加されている。その文言は、こんなものだ。
《3.国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない。》
教育を受ける権利を保障するものだったはずが、こうして自民党は教育内容にまで憲法で介入しているのだ。これは、子どもに一方的な価値観を強制する危険だけでなく、《国の未来を切り拓く》ものとして愛国心や国防意識を高める教育は推奨され、逆にそれに反する教育は「憲法違反」として槍玉にあげられるようになる危険も孕んでいる。
現に、自民党はすでに「子供たちを戦場に送るな」と言う教員を取り締まる“密告フォーム”を設置するなど、これを先取りする動きを見せている。平和・人権教育をパージするためのシステムを憲法改正によってつくり上げる──これが自民党の狙いなのだろうが、それは国が教育に介入し、権力によって児童・生徒・学生たちが統制されるという戦前への回帰を意味しているのだ。
いますぐにでも法律によって実行可能な教育無償化を「憲法改正しないと無理」などとホラを吹き、挙げ句、どさくさに紛れて国による教育内容への介入を目論む。安倍首相はもはや「天下一のゲス野郎」「ベストオブ外道」と呼ばれるべきだろう。
(編集部)
最終更新:2017.12.01 05:57